前半、ペナルティーエリアで清水・吉田(左)に倒される阿部
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雪辱を誓っていた男の果敢なチャレンジが、PKを奪った。前半31分、左サイドを攻め上がったDF阿部が、ゴール前のFW金崎へパス。そのボールを相手GK林がはじいた。猛然と走り込んだ阿部がDF吉田と競り合い、倒れる。果たして、笛は鳴った。「半信半疑でした。PKになって良かった」。苦しんでいたチームを救う“大仕事”だった。
3日前のACL城南戦。阿部は2失点に絡むミスを犯し、痛恨の同点劇を演出してしまった。挽回を誓っていたJ1開幕戦。PKのシーンだけでなく、積極的に上下動を繰り返し、体を張ってゴールを守り抜いた。「PKを取れたのは良かったけど、僕には点よりも安定が求められる。そういう意味では、次の試合もその次の試合も続けていけば、阿部は安定感があるなという評価を取り戻せると思う」。試合後、かすかな安堵(あんど)を漂わせて振り返った。
城南戦後、楢崎や増川、闘莉王ら守備陣から、何が原因だったのかと尋ねられた。責めの言葉よりも前向きな言葉が多かったという。増川は「あーだこーだとは言わないですよ。あいつは芯が強いし、信頼しているから」と笑った。チームには、失敗も糧として消化できる一体感がある。「そこが崩れない限り、どんな試合でも大崩れはしない。もっと強いチームになっていける」と阿部。取り戻した自信は、勝ち点3以上に大きかった。 (宮崎厚志)
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