名古屋−清水 前半32分、PKを決めるケネディ=豊田スタジアムで(畦地巧輝撮影)
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20年目のJ1が開幕し、昨季2位の名古屋グランパスは3季連続得点王を狙うFWジョシュア・ケネディ(29)のPKで清水に1−0で勝利。2季ぶりの優勝に向けて幸先よく白星発進した。昨季4位の仙台は鹿島を1−0で下した。J2からの昇格組は鳥栖がC大阪と、札幌が磐田とそれぞれ0−0で引き分け、FC東京は大宮を1−0で破った。広島は浦和に、川崎は新潟にそれぞれ1−0で勝ち、神戸は大久保の2得点などでG大阪を3−2で下した。各会場での試合前には、東日本大震災の犠牲者を悼んで黙とうがささげられた。
◆名古屋1−0清水
攻撃サッカーを掲げるグランパスが「守り」で非常事態を乗り越えた。シュート数は前後半でたった5本。FW玉田、MF藤本という攻撃の中心と、かじ取り役のMF中村の3人が故障でピッチを去る中、ケネディがPKで挙げた虎の子の1点を執念で守り抜いた。ストイコビッチ監督は「3人から交代を求められたのは初めてだ。勝って本当にうれしい」と胸をなで下ろした。
雪崩現象のように負の連鎖が続いた。玉田は開幕前から痛めてた左足首が悪化。「痛くてシュートも打てない。全然ダメ」と後半開始のピッチに立てなかった。右足首を痛めた藤本も「力が入らない」と後半6分で退いた。ダメ押しは中村。「ピリッときた」と右ふくらはぎをかばうようにベンチへ下がった。
ピクシーは「玉田の交代はよしとするが、藤本には驚いた。しかし中村にはもっと驚いた」。主力が一気に3人も負傷退場する事態に、笑うしかなかった。
本来なら負けパターンだが、それでも勝つのは優勝を狙うチームの「強さ」か。スーパーセーブも見せたGK楢崎は「あれだけケガ人が出た状況で、あっさりやられるのは避けたかった」。後半の半ばからはリスクを避けた守備重視の戦いへシフトチェンジ。途中出場のDFダニエルを含めた事実上の“5バック”で守りきった。
真っ赤に染まったホーム・豊田スタジアムの期待に応える白星発進。これで最近10年間の開幕戦は6勝4分けとなった。気になる負傷交代した3人はいずれも病院には行かなかった。今のところ深刻な故障ではなさそうだ。
ストイコビッチ監督は「3−3で引き分けるより、1−0で勝つ方がいい。きょうは満足している」。波乱の開幕を勝利で飾り、V奪回への第一歩を踏み出した。
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