山本選手の父、悟一さん(58)は職場のテレビで一報を知り、同僚たちと喜び合った。「名前が呼ばれるまでは不安と期待が入り交じるような、何とも言えない気持ちだった。まだ現実味が湧きません」と話した。山本選手から電話を受けた母の佐知子さん(54)は「『決まったよ。今までありがとう』と言われました。本当に周りの人に恵まれた息子です」と涙をぬぐった。
中学校で本格的に陸上を始めた山本選手。高校へはスポーツ推薦ではなく、受験して進学した。悟一さんは「将来のことも考えて、地元の高校を普通に受けてほしいと思っていた。親の思いをくんでくれたのかな」と振り返る。
高校時代から「箱根で走りたい」と話していたといい、佐知子さんが揚げ物を控えた手料理で練習を支えた。
びわ湖毎日マラソンは夫婦で観戦。猛追をみせる息子の背中に何度も名前を叫んだ。
粘りでつかんだ夢舞台へ。「これからは周りの状況も変わると思うけど、できることにしっかりと取り組んでほしい」と悟一さん。佐知子さんは「とにかく体に気を付けて、無事にスタートラインに立って」とエールを送った。(奥平裕佑)
(2012/03/12 22:39)
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