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東日本大震災の漂流船 香美町から遺族の元へ

2012年03月12日

 東日本大震災による津波で流され、昨年末に兵庫県香美町香住区沖で見つかった岩手県大槌町、野崎長一さん=震災で死亡、当時(63)=の小型船が同県釜石市に住む息子の貞治さん(33)の元に届けられることになった。香美町で11日に出発式があり、貞治さんが「生きる希望をもらったような気がする」などとするメッセージを町に寄せた。船は12日朝、現地で引き渡される予定。

出発式で、震災犠牲者の冥福を祈って黙とうする関係者=11日、兵庫県香美町香住区香住の町役場駐車場

 小型船は大槌町の吉里吉里港から流され、行方不明になっていたが昨年12月31日、香美町の余部崎沖を漂流しているところを発見された。その後、長一さんは大震災で亡くなったことが判明。「父の形見。引き取りたい」という貞治さんの希望を受け、香美町が送り届ける意向を申し入れていた。船の運送は同町内の建設業者3社がボランティアで引き受け、町は燃料代を負担する。

 貞治さんはメッセージに「父の位牌(いはい)と遺影に報告しました。あなたの船が遠く離れた兵庫から帰ってきますと。もし生きていれば、どんなに喜び、楽しみだったでしょう」などとつづり、町も生まれ育った実家も津波で破壊され、会社も被災して解雇されたことなどを伝えた。

 運送に当たる仲村正彦さん(55)は昨年、被災地支援で大槌町を訪れている。「1年たち、また来いと言われたような気がしている。しっかり送り届けたい」と話していた。



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