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【プロ野球】

中畑監督が決意の白星

2012年3月12日 紙面から

◆オープン戦 DeNA3−2西武

DeNA−西武 オープン戦本拠地初勝利を挙げ、ファンの声援に応えるDeNAの中畑監督(左)=横浜スタジアムで(佐藤哲紀撮影)

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 DeNAは開幕投手を目指す高崎が4イニング4安打1失点と安定感を欠いた。攻撃では先頭打者の出塁を得点に結び付けた。西武の中村がオープン戦1号ソロを放った。先発枠入りを狙う石井は4イニング3安打2失点。要所で制球が甘くなった。

 故郷に元気を送りたい。その一心が、万年最下位チームに活力を吹き込んだ。福島出身の中畑監督率いるDeNAが、会心の勝利でオープン戦首位をキープ。先制されても、2度追いつかれても、最後まで諦めない姿勢を貫き、緊迫したシーソーゲームを制した。「全員、今まで以上に元気があって、ピンチになっても向かっていっていたのが素直にうれしい」。いつもはギャグ満載の、試合後爆笑インタビューも、この日ばかりは神妙だった。

 朝のロッカー室では「被災地の苦労を思えば、頑張るのは当たり前。われわれにできることは野球。なら、野球で返すしかない」と、選手にゲキを飛ばした。試合前に行った募金は両チームとも監督、選手全員が参加。試合中の黙とうも、両ベンチ全員と審判でグラウンドに大きな輪を作って行った。すべて「敵味方であっても、みんなが一つにならないと」という中畑監督の発案。募金はわずか20分間で46万5471円集まった。「渡辺監督はすべて二つ返事で了解してくれた。実は監督が決まった時、就任あいさつより先にこの試合について相談した」と明かした。

 福島の実家は酪農を営んでおり、原発事故で一時は出荷停止の憂き目にあった。昨年は3月のうちに福島に駆け付けて避難所を巡り、県内で少年野球教室もたびたび行った。

 この日は被災地から横浜市内に避難している39組129人を招待。公式戦が始まったら、横浜スタジアムや被災地に近い楽天の本拠地・Kスタ宮城に子どもたちを招待するプランも進行中。「(監督になる)チャンスをいただいた日から、使命を感じ、明るい話題を提供するためにユニホームを着てきた。最後まで諦めないこと。それだけは見せ続けたい」。元気印の指揮官が秘めた思いは、勝利とともに、はるか東北にも届いたはずだ。 

  (竹村和佳子)

 

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