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「ポリオ」について 正しく知ろう

ポリオワクチン接種の重要性がわかったら、次は生ワクチンと不活化ワクチン、どちらを選ぶかが迷うところでは?それぞれの違いを説明します。

今、ポリオがメディアで騒がれているのはなぜ?

ここのところ、テレビや新聞などでポリオについての報道を目にすることが多くなりました。これは、ポリオのワクチンが今、「生ワクチン」から「不活化ワクチン」への移行期にあるため。
現在、定期接種の1つであり、3ヶ月以上のベビーが接種するべきとされる生ワクチンは、約100万人に2~4人(2004年WHOの発表より )の割合でポリオに感染してしまう可能性があります。
それゆえ、「あと少し待てば、感染の心配がない不活化ワクチンが承認される」と接種を控える親が増えているのですが、じつは、これは好ましいことではありません。接種率が下がるとポリオにかかる子どもが増え、地域流行が起こる可能性もあるからです。

神奈川県ではいち早く自治体による不活化ポリオの接種がスタートしましたが、予防接種法で承認されるのは2012年の秋、全国的に実施される時期は現時点では不明です。(厚生労働省の発表より)
今お腹のなかにいるベビーが接種するころはまだ、生ワクチンが定期接種とされる時期。現在不活化ポリオを望む場合は、個人的にワクチンを輸入している小児科で接種することも可能なだけに、親であるあなたやパートナーの判断が必要になります。

生ワクチンと不活化ワクチンのメリットとデメリットは?

最後に、生ワクチンと不活化ワクチンの違いやメリットとデメリットについて説明します。判断の材料にしてください。

【生ワクチン】

特徴
・定期接種の1つに位置づけられている
・弱めたウィルスを口から飲む接種方法のため痛みがない
メリット
・定期接種なので無料で受けられる
・自治体(近くの保健センターなど)で受けられる
・もしものときに予防接種法によって救済が行われる
デメリット
・約100万人に2~4人の確率でポリオを発症するリスクがある
・接種後、約6週間は便のなかにポリオウイルスが出るため、周囲への感染予防に注意が必要(このため免疫異常のある子どもや家族がいる場合は接種できません)

▲「ポリオ」は、ちょっと早いけれど、妊娠中の今から知っておきたい時事用語です

【不活化ワクチン】

特徴
・2011年12月現在は未承認のワクチンで、日本の製薬会社が臨床試験を行っている段階。小児科などの医療機関が独自で輸入している
・通常の予防接種と同じ注射で接種するため痛みをともなう
・日本以外の先進国はすべて不活化ポリオワクチンに切り替え済み
メリット
・海外での実績データが豊富。ポリオウイルスに感染するリスクがない
デメリット
・有料であり、費用負担補助制度もない(1回約5,000円)
・実施している医療機関を探して接種する必要がある。順番待ちになる可能性も
・もしものときに公的な救済法がない
・接種後、注射をうった場所が腫れたりする可能性がある
 (※通常の予防接種時にもありうること)
・合計4回の接種が必要
【堀先生の意見をズバリ!】

ポリオの予防接種は必ず行いましょう。ウイルスがいつ日本に入ってくるかわからないうえ、生ワクチンを飲んだベビーの便から2次感染の可能性もあるからです。また、現代はいつ再び地震などの震災が起こるか分からない状況。自然災害などの非常事態のときには、予防接種は受けられなくなるうえ感染リスクも高まります。そんなときに、受けておくべき予防接種を受けていないということは不安を強くしてしまうのではないでしょうか。

感染の危険性が指摘される生ワクチンを接種させるのをためらう場合は、不活化ワクチンを接種してください。感染の可能性が100万人に2~4人でも、お母さんにとってはかかるかかからないかという重大なことですから。小児科で実施しているところも徐々に増えていますので、インターネットなどで調べればお近くの地域でもいくつか可能なところが見つかると思います。生ワクチンを接種する場合は、接種後の便の取り扱い、お子さんの体調の変化に注意をし、おかしいと思ったらかかりつけ医に必ずご相談ください。
一番最悪なのは「ポリオの予防接種をしない」という選択。
わが子の健康を守るために、予防接種はもれなく必ず受けさせてあげてください。

なお、今回私が監修している内容は、2011年12月段階のものです。医療に関する情報は日々変化します。インターネットで情報を得る場合、その記事が「いつ発表されたものか」をしっかり見て、最新の情報を得るようにしてください。

2011/12/26更新

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