ここでは、単純マトリックスを例にとって液晶ディスプレイの構造と、液晶の材料、および作り方を説明します。
カラー液晶ディスプレイの構造は、それぞれの構成要素がサンドイッチのように層状になっています。
出入りする光をコントロールする。
電極部からの電気がほかの部分に漏れないようにする。
液晶ディスプレイを駆動するための電極。表示の妨げにならないよう透明度の高い材料を使う。
液晶の分子を一定方向に並べるための膜。
液晶物質をはさむ2枚のガラス基板に、均一なスペースを確保する。
RGBのそれぞれのフィルターをかけ、色を表示する。
ディスプレイの背後から光を当て、画面を明るくする。
モノクロ表示の液晶ディスプレイでは、これの代わりに「反射板」を使い、自然光で見えるようにしてあるものもある。
エステル系 / ビフェニル系 / PCH系(フェニルシクロヘキサン) / シクロヘキサン系 / フェニルピリジミン系 / ジオキサン系 etc. |
ブレンドのねらい | ブレンドする液晶材料 | |
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要求性能のポイント | 目的 | |
電圧 | 駆動電圧を小さくする。 (電池駆動用など) | ・P-エステル系 ・P-ビフェニル系 |
温度 | ・高温環境に耐える。 ・安定して作動する温度範囲を広くする。 (自動車、航空機、列車用など) | ・三環系 ・四環系 (高温に耐える。) |
粘度 | 応答性をよくする。 (動画用など) | ・PCH系 ・エタン系 ・ビフェニル系 |
屈折率 | 色調を合わせて、最も鮮やかな「白」を得る。 | ・PCH系 (屈折率小) ・ビフェニル系 (屈折率大) |
弾性 | 電圧をかけたときの立ち上がり特性をよくする。(高いコントラストが得られる。) | − (母材の性能による) |
液晶材料は、さまざまな種類の母材に別の材料をブレンドし、求める性能を得るようにしています。たとえば車載用のディスプレイは、オフィスや家庭用と異なって、熱や振動などの厳しい環境条件に耐える必要があります。こうしたそれぞれの用途に応じた要求に適合するように、液晶材料を調合するのです。
まず電極部を形成し、配向膜、スペーサーなど外枠を組立てます。その中に液晶材料を注入して「セル」と呼ばれる単位を製作します。出来上がったセルと外部素子(LSIなど)を接続したあと、最後にセットを組立てます。