佐賀県神埼市教委は11日、伊万里市立小の教頭(49)が前任地の神埼市内の小学校で、保護者が学校を通じて積み立てた「子ども貯金」とPTAの預金計約1700万円を横領していたと発表した。競艇や生活費に使ったという。このほか、子ども貯金約230万円を「紛失した」とも申告しているという。
市教委によると、子ども貯金は、児童が毎月、学校で現金を金融機関の担当者に手渡して積み立てる。利息は保護者の同意を得て、学校が備品の購入費などに使える。引き出す際には校長印が必要という。
教頭は前任小学校で教務主任として、子ども貯金とPTAの預金の管理を担当。2009年10月〜11年3月、「子ども貯金を引き出したい保護者がいる」「学校の研究冊子代に使う」などと当時の校長にうそをつき、校長印を使用。子ども貯金から約70回にわたり、計約1570万円を着服していたという。PTAの預金からも08年6月〜09年10月、十数回にわたり、計114万円を横領していたという。
今月8日、6年生約110人に子ども貯金を払い戻そうとしたところ、残高不足が発覚。教頭に事情を聴いたところ、横領を認めたという。
また、09年3月には子ども貯金の利息約230万円を別口座に移し替えるよう指示されたが、「金を自家用車に入れ立ち寄ったスーパーで盗まれ、紛失した」と説明しているという。教頭は11日までに約1600万円を返し、残る約300万円も返済予定という。
市教委の実松信子教育長は、子ども貯金のずさんな管理を認め、「保護者と話し合い廃止したい」と発言。教頭の処分は「県教委とも協議して厳正に対処したい」と述べたが、刑事告訴などは未定とした。(伊沢健司)