アフガニスタン南部カンダハル州で11日、駐留米兵が、基地の外で民間人に向かって銃を乱射した。カルザイ大統領は、子どもや女性を含むアフガン人の16人が死亡したと述べた。アフガン国民の反米感情が一段と強まり、カルザイ政権と米政府の協力関係の維持はさらに困難になりそうだ。
アフガンに展開する米軍主体の国際治安支援部隊(ISAF)は、この米兵を拘束したと発表した。アフガン政府は、複数の米兵が乱射したとの目撃情報があるとして、調べている。
AP通信などによると、米兵は11日未明、同州パンジュワイ地区の米軍基地の外に出て、2地域にある民家数軒を相次いで銃で襲撃したという。
カルザイ大統領は「罪のない市民を意図的に殺したもので許すことはできない」と激しく非難し、米国に対して説明を求めるとの声明を出した。
ISAFを指揮する在アフガン駐留米軍のアレン司令官は「衝撃を受け、悲しんでいる」とする声明を発表。「迅速で徹底した捜査」を約束した。ISAFは動機など詳細は調査中としている。
アフガンでは2月下旬、複数の米兵がイスラム教の聖典コーランを燃やしたことをきっかけに、大規模な反米デモが各地で約1週間にわたって発生。カブールの内務省で米士官が殺害されるなど、影響と見られる事件が相次いでいた。(イスラマバード=中野渉)