2010年10月18日

中国傾斜

タイから

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は今年1月から、自由貿易協定(FTA)を本格始動させ、人口19億人という人口規模で世界最大の単一市場が誕生した。GDP(国内総生産)の規模では欧州連合(EU)、北米自由貿易協定(NAFTA)に続く世界第3位の単一市場だが、潜在的な経済活力は巨大なものを秘めている。

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 中国とすればASEAN諸国との貿易のさらなる活性化を図るため、その基盤となる物流インフラを整備することで、ASEANを裏庭化したい意向だ。

 さっそく中国は年内にも、バンコク高架電車BTSへ長春軌道客車製の車両48両を輸出する。これまでBTS車両はすべて独シーメンス製だったが、これからは中独混成車両となる。

 タイ政府はこのほど閣議で、中国の技術と資金協力を受け、高速鉄道網の整備を推進していく計画を承認した。目玉は中国・昆明からマレーシア国境スンガイコーロクまで延びる最高時速200キロ以上の高速鉄道だ。なお中国はラオスやミャンマーなどの鉄道敷設計画にも戦略的に取り組んでおり、その狙いはASEANの物流やインフラ整備の主導権掌握にある。

 従来、ベトナム共産党の影響力が強かったラオスでも近年は中国の影響力が一気に増してきた。昨年春にはバンコク発の列車が、ノンカイからの友好橋を通過してビエンチャンまで乗り入れるようになったが、中国が計画しているのは雲南省とタイをラオスを介して結ぶラオス縦断鉄道の整備だ。

 またベトナム政府は一時、日本からの新幹線導入計画を歓迎したものの、議会がそれを否決してストップを掛ける異例の事態になっている。この背景には、インドシナ全域を同一規格の高速鉄道網にしたい中国の画策があるとみる専門家は少なくない。

(T)

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