2012年03月07日

過去の大会を振り返る〜伊藤みどり

フィギュアスケートのテレビ放送」を書いてから、
ビデオ時代に録画した映像で、アルベールビル冬季五輪よりも古い映像があるはず・・・
と探したところ、ありました。

1989年パリ,1990年ハリファックス,1991年ミュンヘン。
この3つの世界選手権の、伊藤みどりの映像が残っていました。

やはり、放送はTBSでした。
そして、3大会とも解説に杉田秀男さんが入っています。

1989年 パリ大会
トリプルアクセル成功の感動的な時間が流れていました。
もうこの伊藤みどりのフリーは、10代〜20代前半に、繰り返し見たので、
実況と解説がどこで何を語ったか、今でも覚えている。
技術点に6.0の満点が5人もあって、杉田さんも「女子の大会で(このような)技術点は初めて見た」と。

当時の新聞記事
  midori01.jpg

  midori02.jpg
23年も前の切り抜きを今でも保存しているくらい、心に残るものがあった。
1989.1.20付と書いているので(現地では18日女子フリー)、現在より世界選手権の開催時期は早かったようです。


1990年 ハリファックス
フリーのシェヘラザードは、前年パリ大会より素晴らしくキレイなトリプルアクセル成功で、全体的な内容も良かったのですが、このシーズンまであった“規定”の順位も含まれるため、総合2位でした。

次のシーズンからは規定が廃止、そうなると世界女王に返り咲きは、当然の流れのように・・・
迎えた1991年 ミュンヘン
期待もかなり大きかったです。
が、オリジナルプログラムの6分ウォームアップで一つ目のアクシデント。
フランスの選手と激突。
スピードを出していた伊藤みどりさんの方が受けた衝撃が大きく、
「ほとんど息もできなかった」と後で本人が語ったほどでした。

そして、演技中に二つ目のアクシデント。
コンビネーションジャンプの2つ目のジャンプの着氷で、リンク外(報道カメラのあるところ)に飛び出してしまった。
これもかなりの衝撃、痛いに決まっている!
それでも、その後はしっかりまとめ、笑顔を見せての演技。
これには感心したし、やはりそれだけの選手だ、と思った。
しかも、それだけでなく、演技終了して挨拶の後、ぶつかったカメラマンのところに行って謝っているようで、衝撃で氷上に飛び散った機材の破片?みたいなものを拾っている。
そういった人柄も見えた試合でした。

このハプニング?に関して、
試合中にリンクから出たのだから、試合を放棄したと見なすべきだ、という意見が関係者からあったとか、そういった話も聞きました。

このような状況でありながらも、フリーは棄権することもなく、
出場してくれたこと、それだけで胸がいっぱいになるような、見ているのが辛かったほどでした。
よく最後まで滑りきったという思いでした。
解説の二人と実況も、結果を残せなかった伊藤みどりさんに決して厳しい発言もなく、温かく見守ってくれていたことも嬉しかった。


この3大会の世界選手権、
フリーでは現在のように後半のジャンプに得点が1.1倍になることもないのに、
3−3を後半で決めている。(万全の状況でなかったミュンヘン大会でも)
23年も前にトリプルアクセルと3−3を跳んでいたなんて、女子選手としてはやっぱりすごい。
改めて、伊藤みどりが残してきた大きさに驚く。


放送に関して。
ミュンヘン大会の女子フリーは、[ミュンヘン−東京 衛星中継]と表示されていました。
あの当時でTBSもよくここまでやったな・・・と、今更ながら思った。
それだけ、“伊藤みどり”の存在が日本には大きかったということかもしれない。

世界選手権前の全日本選手権7連覇から、ドイツ入り、現地での合宿など大会前の映像とインタビューも試合に織り込んだ放送でしたが、不要と感じる映像など一切なく、的確で伝えるべきことをしっかり伝える(当然のことなのでしょうが)、演技中は実況・解説も最低限というほど喋らないし、とても安心して見られるものでした。
現在フィギュアスケート中継している民放にも、この当時のTBSのような放送を期待したい。

20年以上も前に家庭で録画した映像なんて、今となってはとても見られるような画質で残っていませんが、それでも、世界で活躍した伊藤みどりの演技と、当時私自身が感じ取ったもの,思い出、それがあるからひどい映像でも見入ってしまいます。
今回改めて見直して、それらに加えて、放送内容の良さもあるのかも・・・と思ったことです。
posted by 詩絵 at 22:39| Comment(2) | TrackBack(0) | フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

こちらの記事を読み驚きました。私も同じようにビデオ(VHS)をとり、新聞の切り抜きをとっていたので・・・。私のビデオも観すぎてしまい、音が出なくなりなんとか映像が見える感じです。(合間のCMが懐かしいですね。)今振り返ると、当時は確か1ドル300〜270円ぐらいでしたから、ワールドの放送はかなりの大金がかかったでしょうね。1局でよく放送してくれたと思います。

伊藤みどりさん、当時の世界の男子シングル・トップ選手と殆ど同じジャンプ構成だったようですね。特に現役後半はフリー前半に3A、後半に3−3になりビックリしたのが懐かしいです。演技全体のスピードもステップもジャンプも凄すぎ、今のPチャン選手の演技を生で観ても驚かなかったので、改めて本当に異次元選手だったなぁと思いました。

私は今はJスポーツで観賞しています。
今の局に放映権が移ってから、全日本もワールドも男子シングル、アイスダンス、ペアの放送が殆ど観られなくなることが分かり仕方なく契約したのですが、思いもかけず杉田さんや藤森さんの解説が聴け、安心して楽しんでいます。ただ時々はいる昔話などが、私それリアルタイムで観ている・・・と今更ながら自分の年齢に驚くばかりです。みどりさんの時代から23年過ぎているんですものね(笑)
Posted by YY at 2012年03月08日 23:04
YYさん、コメントありがとうございます。
同じようにフィギュアスケートを見てきた人がいること、嬉しく思います。
20年以上を経ても伊藤みどりさんのジャンプを見ると驚きます。高さと迫力、そしてその構成、みどりさんのジャンプを見続けていた当時では気付かなかったところもありました。
男子選手から、“みどりが女子でよかった”という声があったと聞いたことがありますが、本当にその通りですね。
それも今見るからこそ実感できるものもあります。
ビデオからDVDへコピーした映像はひどい状態ですが、それでも残しておいてよかったと思います。

私もJ SPORTSで観戦するのを楽しみにしているのですが、今年世界選手権の生放送をしなくなったということは、徐々にフィギュアスケート中継から退いていくのかな・・・?と不安もあります。
Posted by 詩絵 at 2012年03月09日 00:30
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