ただし、動画を見るには条件があります。同サイトでは、18歳未満の利用を禁止しているので、年齢認証をしないと無料で動画を見られないとのこと。年齢認証さえすれば、無料で動画を閲覧できるIDとパスワードを発行するとしています。
そこで、「完全無料でご利用できるID・パスワードを発行する」をクリックすると、図3のページが表示されます。
図3 クレジットカード番号などの入力を促すWebページ |
「無料」に目がくらんだユーザーでも、このページが表示された時点で「おや?」と思うはずです。無料のはずなのに、なぜかクレジットカード番号の入力が求められているからです。しかも、「商品名」は「完全無料サービス会員」なのに、「価格」の欄には「$250.00」の表記。
また、図では消していますが、このWebページのドメイン名は、先ほどのWebページとは異なります。このWebページは、クレジットカードによる決済サービスを提供する企業のもののようです。つまり、先ほどの「完全無料」サイトが、この企業にクレジットカード決済に関する業務を委託していると考えられます。
「無料」なのに、なぜクレジットカード番号を入力させるのか、なぜ「$250.00」なのか。この疑問は、「完全無料」サイトに記載された「利用規約」を読めば氷解します。「利用規約」をスクロールしていくと、一番最後に「16.完全無料サービスについて」という項目が現れます(図4)。
図4 「完全無料サービス」に関する利用規約 |
以下、この項目を全文そのまま引用します。
「クレジットカードにて年齢認証が完了しユーザIDとパスワードが発行された時点から24時間は0円でご利用になれます。尚、0円サービスのみをご希望の場合は24時間以内に必ず退会フォームよりご連絡下せい。注)24時間以内に退会のご連絡を頂かなかった場合は1ヶ月ごとに$250が課金され退会処理を行わない限り、自動更新されますので予めご了承下さい。」
つまり、このサイトが提供するのは、「料金が1カ月で250ドルの有料サービス」であり、「最初の24時間に限り無料」ということです。これが「完全無料」でしょうか。「24時間以内に退会すれば完全無料だ」という反論があるかもしれませんが、退会手続きをしても、きちんと退会処理されるかどうかは疑問が残るところです。
とにかく、「無料」といった魅惑的な言葉があったとしても、ほとんどは事実ではありません。迷惑メールで誘導されたWebサイトにウイルスなどが仕掛けてある可能性もあります。図1のような迷惑メールを受け取っても、ぐっとこらえて(?)、相手にしないことが一番です。