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Firefox4やIE9で搭載された「Do Not Track」オプションとは何か?

Firefox4から、「環境設定>詳細」の中にひとつ、チェックボックスが増えました。「トラッキングの拒否をWebサイトに通知する」 とあります。これは広告業界やアクセス解析屋の間で半年くらい前からじわじわ話題になっていた「Do Not Track」という新機能です。
fx4 チェックをONにすると、以下のように、ブラウザのリクエストヘッダに「DNT」というパラメータが追加されいています。

do not track sample

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これは何か?

オンライン広告では、「リターゲティング」や「リマーケティング」と言った名称で、一度広告を見たユーザ(=ブラウザ)に対してより効果のある訴求ができるようにトラッキングするのが一般的になっています。たとえば、赤い車のバナー広告をクリックした人には、他のページでも赤い車を表示してみたり(クリックしていないユーザには青い車を出したり)、という使い方ができますし、コンバージョンしたユーザが初回アクセスなのかリピーターなのかを判別するためにも使いますね。

こういった、オンライン広告の手法が進化していく中で、「俺の情報を勝手に調べるな」というユーザの声が大きくなっていきました。別に個人情報をこっそり取得してるわけではないです。ただ「このサイトを見た」とか「このサイトのユーザだ」とか「この広告をクリックした」ということに対してトラッキングしているだけですが、センシティブな欧米ではこれが結構、問題になっています。

たとえば米国などには、わずらわしい勧誘電話から一般消費者を守るために「Do Not Callレジストリ」という仕組みがあり、このレジストリに登録された電話番号には一切の勧誘電話が禁止されています。
これと同じことをインターネットで行うのが「Do Not Track」なのです。

効果はあるのか?

この機能があるのは2011年現在、Firefox4とIE9です。ただ、チェックをオンにしても、上記のようにヘッダーに「DNT=1」というパラメータが付くだけです。言わば、自分の血液型カードを首にぶら下げて町を歩いているようなもの。気づいた人は見てもらえるけど、気づかない人には意味がない。それに、現状、法的拘束力もなければ、慣習もルールもありません。マタニティマークをつけた妊婦さんが電車に乗ってきても、席を譲らない人がいるのと同じようなものです。
オンライン広告の場合、このパラメータを受け取ったサーバ側でトラッキングしないように処理する「べき」である、というだけです。
Google Analyticsの場合、追跡しないプラグインを導入することでトラッキング対象にされないという措置をとってましたが、今後はこのチェックとパラメータで同じように扱うようになるのかなと思います。
Googleもオンライン広告で売り上げている会社なのであんまり声を大にして言わないかもしれないけど、もしかするとChromeの将来的なバージョンなんかで、チェックをONにすれば自動的にサードパーティサーバへのリクエスト時に不要そうなパラメータを削除して送信するようにしたり、というのはあるかもしれません。

じゃあ結局意味がないのか?

ユーザ側としては、「追跡されたくない」という意思を表示しているわけだから(もちろんブラウザの標準設定ではOFFになっているところをわざわざONにしているほどだから、強い意志だと取れる)オンライン「当たり屋」的に、オラオラお前んとこのサーバさんが勝手に追跡してきたから骨折れたやないのー! なんつって訴訟を起こすこともできるかも。まあ、サイト側のプライバシーポリシーによるんだけどね。

ブラウザの進化とともにプライバシー問題の新しい課題も生まれつつあるんだね、というお話。

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