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★バリアフリー報告:071120
− セブン銀行のATMが視覚障害者用音声対応に。これで全国がほぼ統一 −
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長谷川 貞夫
セブン銀行のATMが11月26日より視覚障害者用音声対応になります
セブン銀行は、設立当時は、アイワイバンク銀行の名前でした。
11月1日に、このセブン銀行のATMの披露と評価の会があり、招かれて東京駅近くの会社へ行って来ました。
その場には、セブン銀行の安斎隆社長が来られて、セブン銀行ATMの音声化を正式に私に伝えてくださいました。
社長が自ら私に伝えて下さったのは、後述の通り、銀行の設立時にATMのバリアフリーを手紙でお願いして、社長がその実現を約束してくださっていたからです。
セブン銀行のATM台数は、2007年11月20日現在、全国のコンビニ、セブンイレブンやスーパーのイトーヨーカドーなどに12733台設置されています。
これと、ゆうちょ銀行の本年3月での26103台と合わせると、おおよそ4万台足らずののATMということになります。
このATMで11月26日からはセブン銀行カードだけですが、ハンドセットについている数字ボタン(テンキー)と記号ボタンを使って、音声案内で、「引き出し」、「預け入れ」、「残高照会」の取引ができるようになります。
(ニュースリリース・11月22日発表)
・視覚障がいをもつお客さま向けATMサービス開始
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-------------(引用)
平成19年11月22日
株式会社セブン銀行(以下セブン銀行、東京都千代田区、代表取締役社長 安斎 隆)は、視覚障がいを持つお客さま向けにATM備え付けのインターホン(電話)による音声ガイダンス取引きを12,700台以上の全ATMで開始いたします。
平成19年11月26日(月)より当社のお客さまにサービスを開始し、平成20年2月12日(火)からは当社が提携している約90の銀行(ゆうちょ銀行を除く)のお客さまに、さらに平成20年春には提携している信用金庫、信用組合、ろうきん、JAバンク、JFマリンバンク、証券会社のお客さまにもサービスを拡大いたします。
【サービスの概要】
1. ご利用いただける取引き(各金融機関の取引きメニューに準じます)
(1) お引出し
(2) お預入れ
(3) 残高照会
2. 対応の主なポイント
(1) 取引きに関する操作を全てインターホンに集中
・ タッチパネルを使わず、インターホンのみで取引きが完結します。
・ 取引中に障害が発生した場合は、コールセンターに自動的に接続し、オペレーター対応に切替わります。
・ 第三者によるいたずら防止のため、「インターホンでの取引き」を選択した時点で、テンキーやタッチパネルでの操作ができなくなります。
(2) 通常以上にプライバシーに配慮
・ 「紙幣をお受取りください」など、通常はATMスピーカーから流れる案内は、インターホンのみで流れます。
・ 金額は画面に表示されません。
(3) 親切でわかりやすい案内の実施
・ 操作に不慣れな方でも一人で操作できるよう操作方法を詳細
に案内します。
・ カードを挿入すると「利用金融機関名」を、取引き終了時には「手数料」を音声案内します。
・ 提携金融機関を含め操作フローを統一しました。
3. 開始スケジュール(予定)
平成19年11月26日(月) セブン銀行のお客さまへのサービス開始
平成20年2月12日(火) 提携銀行(ゆうちょ銀行を除く)のお客さまへのサービス開始
平成20年春 提携する信用金庫、信用組合、ろうきん、JAバンク、JFマリンバンク、証券会社のお客さまへのサービス開始
-------------(終わり)
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(長谷川)
コンビニATMの最大数を設置しているセブンイレブンがバリアフリー化したことで、 ほかのコンビニ内におけるATMや、銀行などほかに置かれるATMのバリアフリーに今後大きな影響を及ぼすものと考えます。
私は2001年4月10日にアイワイバンク銀行の設立が認可され、そのATMがコンビニのセブンイレブン内などに設置されることを知りました。
それで、その銀行の母体となったイトーヨーカ堂社長と、当事者であるアイワイバンク銀行に対し、コンビニに置くATMのバリアフリーを要望する手紙を出しました。
その結果、イトーヨーカ堂の鈴木敏文社長から5月2日付、アイワイバンク銀行の安斎隆社長からは、口座申込み受け付けなど営業開始の5月8日付けでご返事が、5月11日に私のところへ到着しました。
(参考)
・「アイワイバンク銀行社長、ATMバリアフリーの返事」
手紙の返事によりますと、
(引用)
『しかしながら、視覚障害を持たれているお客様への対応としてハードのインフラはご用意いたしましたが、実際にご利用いただくためのソフトにつきましては、鋭意研究中であり、残念ながらアイワイバンク開業当初にはハンドセットを用いた方法ではご利用いただけません。
(J-Debit仕様の凸付きテンキーはご利用いただけます)
現在日本自動販売工業会の仕様を入手し、その仕様に合わせてシステム開発に着手する準備を進めております。実現時期につきましては、今しばらくお時間を頂きたいと思います。 』
とのことでした。
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今回の、11月26日からのATMのハンドセットの音声化(バリアフリー化)は、その約束が見事に守られたということです。
一般に、会社の社長がバリアフリーを利用者に約束し、それが守られたという例を私は知りません。
その意味でも、今回のセブン銀行におけるATMのバリアフリーまでの歩みについては企業の社会的なあり方として高く評価したいと思います。
なお、ゆうちょ銀行のATMのハンドセットにおける電話式テンキーの採用については、1998年の埼玉県大宮郵便局区内における「郵政省郵便貯金ICカードサービス実証実験」に視覚障害者として参加し、電話式配列のテンキーの採用を当時の野田郵政大臣に要請して実現したものです。
また、その延長として、デビットカードの暗証番号入力端末のキーも電話式配列のテンキーとなりました。
今でこそ電話式配列のテンキーが公共電子端末として常識的なものとなりました。
しかし、1998年ごろは、端末の数字などの入力が、タッチパネル式、横1列の押しボタン式、電卓式、そして電話式のテンキーなどと、それこそバラバラでした。
それで、これを当時は少数だった電話式配列のテンキーの方向に統一するのに1998年から取り組んで、今年で9年を要しました。
やはり、だれもが用いている電話と同じキーがよかったと思います。
もちろん、これ以外の金融機関などの電話式テンキーの例はありますが、これらは、郵便局のATMが電話式配列のテンキー(ハンドセット)の採用が大きく影響したものと考えています。
(参考)
・視覚障害者によるバリアフリーの取り組み−記録
(2007年11月20日)
(2007年11月22日ニュースリリース追加更新)
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【写真】
・最新型のセブン銀行ATMと、ハンドセット(テンキー付きの受話器)。
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