大阪維新の会代表の橋下徹・大阪市長は10日、国政進出に向けた政権公約「維新八策」の決定を先送りする方針を示した。野田佳彦首相は消費増税法案の成立と引き換えに衆院解散を約束する「話し合い解散」に慎重な考えを示しており、早期の衆院解散は微妙な情勢。橋下氏は増税法案を巡る与野党攻防をにらみつつ、慎重に公約づくりを進める構えだ。
橋下氏は10日、大阪市内で開かれた維新の全体会議で「政治や政策の哲学をしっかり固めないといけない。それが欠けているのが今の既存政党だ」と強調。政権公約について、24日に開講する「維新政治塾」での討議などを通じ、内容を詰める考えを示した。
橋下氏は2月13日に政権公約の骨格を示し、10日の公約発表を目指してきた。しかし、支持率が低迷する民主党執行部は早期解散に否定的で、首相も増税法案の与野党協議に意欲を表明。橋下氏は大阪都構想の実現に向けた与野党の動きも見極め、選挙準備を進める方針に転換した。
維新の動きに既成政党側は警戒感を募らせる。民主党幹部は「人気を維持するために、政策を小出しにしている」と分析。公明党幹部は「民主党と自民党の議論を見守り、選挙直前に内容を固めようということだろう」と指摘した。【高山祐、佐藤慶、木下訓明】
毎日新聞 2012年3月11日 東京朝刊