Ph.D: do’s and don’ts

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(May 30, 2009: ひとまず何番目かのバージョンで復旧させました。リンク等は後日復旧させます。PDFファイルをお寄せくださったNさん、本当にありがとうございました)

当blogで神経科学ネタの次に力を入れているテーマのひとつがドクター・ポスドク問題。最近になって「博士課程に進学するべきかどうか」という相談を個人的に受けることがちらほらありましたので、これまでに書いたエントリの整理も兼ねて「これから博士課程に行こうかどうか迷っている学生さん」向けの特集ページの形でまとめることにしました。

このページで取り上げるテーマは以下の4つです。

  1. 博士課程に行ってはいけない!
  2. 自己責任だからと誰かが博士に行くのを見過ごしてはいけない!
  3. それでも博士課程に行きたいならどうすればいい?
  4. 博士課程に進んでからキャリアパスの選択に迷ったら?

大抵の話題については過去に飽きるほどエントリを立てて書いてきましたので、それらの記事を参照しながら書き綴っていきたいと思います。一方、「それでも博士になりたい!」というアホ勇者な方々のためにできるアドバイスというものもありますので、それについても書いておこうと思います。

【博士課程に行ってはいけない!】

代表的な「博士課程の実態」と「博士課程を出た後の実態」について紹介しているサイト・書籍を並べてみました。とりあえず、各種統計については文部科学省系の調査報告などがありますので正しい値はそちらを皆さん自身でお調べになった方が無難かと思います。

さて、皆さんはなぜ博士課程に進みたいと考えているんでしょうか? 「何でそんなことを聞くんだ」と思ったあなた、要注意ですよ。企業の面接ですら「なぜ我が社を志望されたのですか?」と聞いてくるのですから、当然博士課程に進みたいという理由が説明できなければいけませんよね。ということでよくある志望動機とそれに対する反応を書いてみると・・・

  1. 「将来ノーベル賞を取ってみたいから」
    →そもそも、よく言われるものですが狙って取れるものではありません。そして最近では田中耕一さんのように基礎研究者でなくても受賞するケースが見られるようになってきました。本当にノーベル賞を取ってみたいのなら、博士課程に進むかどうかよりも他人の想像もつかないことをあなた自身が究めることに専念するべきでしょう。
  2. 「研究者になりたいから」
    →一般企業でも活躍する研究者はたくさんいます。そういう職には学部卒や修士修了の方が就きやすいはずです。
  3. 「アカデミアの研究者になりたいから」
    →企業で研究を頑張って論文博士などで学位を取得してから、その業績を引っさげて母校やその他の大学の職に就く人が日本では少なからずおられます。博士課程に進まなければいけない理由にはなりません。
  4. 「科学や基礎研究に興味があるから」
    →企業の研究職で仕事をする傍ら、サイドプロジェクトや趣味の範囲で基礎研究をなさっている方もたくさんおられます。博士課程にわざわざ進む必要はありません。
  5. 「大学での成績がいいから」
    →テストができるからといって研究にも優れているとは限りません。テストに出てくるのは既に知られている知識だけですが、研究ではこれまでに知られていないテーマと取り組まなければなりません。記憶力が優れているだけでは研究に秀でるのは難しいことでしょう。
  6. 「勉強が好きだから」
    →上にも書きましたが、研究というのはこれまでにない知識を生み出すための活動であって、既に知られている知識を覚えるためのものではありません。もちろん研究の過程で勉強することはあるでしょうが、それは目的ではなく単なる手段です。
  7. 「自分は優秀だから」
    →あなたが本当に優秀かどうかの真偽はさておき :cool: 、本当に客観的に見てもあなたが優秀な人材であるのならなおさらアカデミアなんて斜陽産業に進まれた日には社会の損失です。あなたの優秀さを社会に対して役立てるためにも、ぜひアカデミアに進むのではなく民間に進んでください。

という感じなんですが、こうやってひとつひとつ潰していくと残る答えとして出てくるのは大抵「一般企業に就職したくないから」「就活に失敗したから」というものなんですよね。言っておきますが、博士課程やアカデミアというのは働きたくないダメ学生の溜まり場やゴミ捨て場ではありません。

現在のアカデミアにおける常識として必ず言われるのが、「毎年輩出される博士課程修了者のうち最終的にアカデミック・ポスト(アカポスorテニュア:常勤かつ終身雇用の基礎研究職)に就けるのは全体の3割未満」ということ、すなわち異常なほどの人余り状況にあるということです。これは例えば東大・京大のようなトップクラスの国立大学の博士課程出身者であっても例外ではありません。

これは裏を返せば、残り7割以上はアカポス以外の職に就くしかないor食いっぱぐれてフリーターかニートになるしかないということであり、そのような現状は例えば上記の『高学歴ワーキングプア』などによって赤裸々にルポされています。以前に比べ、ポスドク1万人計画の実施によって大抵の博士課程修了者はポスドク(1~5年の任期つき研究職:終身雇用ではないため任期が切れると強制的に解雇される)に一度は就けるようになりましたが、ほとんどのポスドクは35歳前後までしか雇用されないという国の方針があるため、35歳を超えて未だアカポスに就けないポスドク経験者は次々と失業者として世間に放り出される運命にあります。

「別に僕(私)は優秀だからそんな心配されなくてもアカデミアで生き残れるよ」なーんて思ってるそこのあなた。そもそも、現在国の方針としてアカデミアを支える国立大学法人・独法研究機関については、総人件費抑制の掛け声のもと続々とポストが減らされていく傾向にあります。死ぬほど頑張ってポスドク期間を生き抜いてアカポスに就こうとしても、そのアカポス自体が減りつつあるのです。年数が経てば経つほど競争は激化するばかり。そして、大抵の場合は運任せorコネ頼み。任期切れを迎えた時にドンピシャで次のポスドクorアカポスに移れなかったら、どんなに優秀な人でもその時点で失業です(Cell / Nature / Scienceに何報も載せているのに次のポストが見つからなかったばかりに落伍したりアカデミアに残るのを諦めたという例も、各種メディアで報じられた通り少なくないのです)。一度失業して研究拠点も(身分を保証してくれる)所属先も失ってしまったら、アカデミアに戻るのは至難の業です。

減らされるのは人件費ばかりではありません。日本ではそもそも金にならない基礎研究は軽んじられる傾向が大昔から色濃いわけですが、最近は不景気・財政難と相まってその傾向にますます拍車がかかっているように見受けられます。先日(2008年10月)久しぶりに日本人(日本出身)のノーベル賞受賞者が4人も出て、これで少しは国から予算をつけてもらえるかと思ったら首相からの電話一本でおしまいだったわけで・・・。つまり、大変運良くアカポスに就けたとしても、予算が減り続ける中で少ないパイの奪い合いを死ぬまで演じ続けるハメになります。おまけに、その奪い合いは「重点化」の掛け声のもと公明正大かどうかは微妙な代物。しかも、時代の流れは応用・実用研究重視。10年や20年で利益に直結するような基礎研究なんてこの世にはほんの数%しかないというのに、どうしろというんでしょうか。

そして、アカデミアにおいても「富める者は富む」の法則は同じ。一度運良く国に注目される研究テーマを掘り当ててしまえばその後はいつまでも予算が確保できますが、失敗すればするほどどんどん貧乏になっていかざるを得ません。そうやって爪に火をともすような貧乏を味わっているラボは、東大や京大にすら珍しくないのです。仮にポスドクとして成功したとしても、その後に待っているのは悲惨な未来でしょう。加えて、アカデミア全体の縮小が既に始まってます。予算削減で干上がった国公立大学の合併と、それに伴うリストラという未来はすぐ目の前まで来ているのです。あなたがどれほど優れた研究者になれたとしても、この先日本でPIとして成功できる可能性はスズメの涙ほどにも達しません。

「だったらポスドクを終えた後は一般企業に就職すればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、ポスドク経験者の雇用に積極的な一般企業は日本にはほとんどありません。ポスドク向けキャリアパス支援事業なんてものが国によって行われるぐらいですから、一度アカデミアを追い出されたポスドクが社会に復帰し、一般企業に就職するなんていうのは至難の業です。ちなみによく一般企業から言われるポスドクを雇いたくない理由として、

  1. 社会的常識やマナー、一般的な勤務態度に欠ける
  2. 専門に偏りすぎていて柔軟さを欠き、企業における実務に適応できない
  3. 同年齢(35歳程度)の社会人に比べて企業での実務経験もスキルも乏しい
  4. 比較的高齢であるため、雇用すると給与体系や人事の複雑化を招く
  5. 既に多くの専門知識を詰め込んだ後ゆえ、企業の側で新しく教育し直すのに手間がかかる

というのがあります。これを打破できるほど、皆さんはアカデミアでの研究にも勤しみつつ社会人としての常識やスキルをも身につけていけますか? あなたが今いるラボの雰囲気を顧みて、そんな芸当がこの先10年も続けていけると思いますか?

もちろん、博士課程を修了した後でポスドクにはならずにまっすぐ一般企業に就職するという道もあります。当blogでも幾人かご紹介している通り、確かにそうやって就職して成功を収めている方もおられます。しかしながら、それとて決して簡単なことではありません。まだまだケーススタディの蓄積が必要ですが、博士課程を修了してすぐ企業に就職するには以下のような条件が望ましいとされるようです。

  1. 元々社会や一般企業との接点が多い分野であること(半導体、合成化学、情報科学・・・)
  2. D2ぐらいからは博論ではなく就活に重点を置くこと
  3. アカデミアに進まず民間で働こうと考える理由をきちんと説明できること

そして、そもそも上記の「ポスドクを雇いたくない理由」が実は博士課程新卒の院生にも当てはまるので、この3つの条件の他にさらにその上の6つの問題点を解決しなくてはならないのです。一方、企業から見れば長い採用活動の歴史の中で給与体系も整っていて、社内教育や人事のシステムも完備しており、受け入れの容易な学部卒や修士修了の学生を採用した方が圧倒的に楽なのです。企業としては、新卒の学生なんてものは出た大学のブランドなりの人材であればそれで十分なのであって、それ以上余計なものを背負ってこられても教育がしにくいだけ。はっきり言って、博士である必要などないのです。すなわち博士課程に進学した時点でいきなりこのようなデメリットを背負うことになります。

一方、民間企業への就職を忌避したりor拒まれたり、さらには任期満了などでアカデミアからもはじき出された博士やポスドクの行き先は必然的にフリーターやニートということになります。現実に、僕が以前バイトしていた予備校にはPR*といった有名誌に3報きっちり載せておきながら、ずっとフリーターという方がおられました。しかも誰もが知っているような超名門の物理系の博士課程出身であるにもかかわらず、です。最近になってキャリアパス多様化促進事業なるものが始まりましたが、これは事実上ポスドクを派遣社員に転職させるプロジェクトにしかなっておりません。この世界恐慌のご時世においては、派遣社員になるというのは数年以内の失業を意味します。派遣社員がクビを切られたらどうなるか?状況次第ですが、悪い方向に転がっていけばホームレスになることも珍しくはありません。つまり、超の字がつく有名大学の博士課程を出て最終的にたどりつくのはホームレス、などということが冗談でも何でもなく本当にあり得るのが現在の状況なのです。

折しも、国は博士課程の定員を削減するべく方針転換を決めたとのこと。一方で修士課程の定員は削減しないという点を鑑みるに、学部や修士課程が学歴ブランディングに有効である一方で、博士課程が社会のお荷物になっているということを国が自ら認めたということなのでしょう。

もうおわかりでしょうか? なればこそ、博士課程に行ってはいけません。就活に失敗したのなら、留年してでも新卒で就職しましょう。その後の地獄に吸い込まれるより遥かにマシです。繰り返しますが、優秀な人材を沈み行くアカデミアなどという泥舟に乗せるのは間違っています。博士課程を出ても就職難の泥沼に沈んでいくことがわかっているのに、進学するなどというのは単なる自殺志願以外の何物でもありません。既に国も博士のことを見限っているのですから。あなたが優秀な人材だと自負されているのなら、また優秀な人材になろうと思うのであれば、博士課程に進むのではなく民間企業に就職するなど世間に広く出て活躍する道を探ってください。これが、泥舟に乗り続ける人間からのアドバイスです。

【自己責任だからと誰かが博士に行くのを見過ごしてはいけない!】

これだけ書いても、世の中には「高円寺あたりの路上でライブやってるミュージシャンと同じことなのだから自己責任で行かせればいい」などとのたまう御仁が少なくないようです。

しかしながら、いかに本人たちの自己責任だといったとしても、博士課程に進む若者が増えれば増えるほど「自己責任」などという安直なキーワードでは片付けられないような問題がいくつも出てくるのです。それは何かというと、

  1. 一人当たり国費を3,000万円近く投じて養成しておきながらその大半がワーキングプアになってしまったとしたら、事実上その国費のほぼ全部が無駄になってしまう
  2. ポスドクたちがワーキングプアになってしまうのを避けるために国としてはキャリアパス多様化促進事業などを行う必要が出てくるが、その事業を行うためにさらなる国費をつぎ込む結果になってしまう
  3. ただでさえ国費をかなり浪費しているはずのアカデミアがキャリアパス多様化促進事業などにさらに国費を費やすことで、アカデミアそのものへの世間からの風当たりが強くなる。これは競争的研究資金の削減といった問題につながる可能性がある
  4. 博士課程に進んだ若者が次々とワーキングプアに転落してしまうことで「博士課程に進んではいけない」という世間の風潮が必要以上に強まってしまい、結果的に博士課程に優秀な若者が全く来なくなり、「学費無料」などのうたい文句につれられてやってくるモラトリアム学生ばかりで博士課程が溢れかえることになる。即ちアカデミアの人材レベルが急激に低下する可能性が高くなる

有体にいえば、たとえ自己責任であろうともこれ以上博士課程に学生が来てもアカデミアにとってすらいいことなどほとんどないのです。にもかかわらず、博士課程に子供が行くのを親が止めるのは野暮だなどというのはアカデミアを取り巻く厳しい状況を一切考慮しない不見識な言説です。そもそも国費を何千万も浪費した上に就職難でワーキングプアかニートにならざるを得ないような世界に、子供を行かせる親なんてどこにいますか? ドクター・ポスドク問題の深刻化が著しい現状のアカデミアにおいては、博士課程に子供や親族、友人を進ませるなどというのは単なる自殺幇助です。そんなことは断じてしてはいけません。

【それでも博士に行きたいならどうすればいい?】

・・・とまぁ、これだけ書いてもまだ博士課程に行きたいと言い出す人は珍しくないんですよね。つい先日も僕の出身ラボの○年下の後輩がやっぱり未練がましく色々言ってたぐらいで。そういう人には「勝手に野垂れ死にすればいい」としか言う気はないんですが :cool: 、それでもアカデミアにしばらくいればtipsぐらいはわかってくるものですし、何よりも僕自身がそれでも博士に進んだアホなので :lase: 、ともかくそのtipsについてちょっと書いてみようと思います。

といっても大したことはありません。とりあえず箇条書きにしてみると、

  1. 進学する前に必ず就活して最低でも1社以上から内定を取る。内定が取れなかったら進学するのではなく、一度留年して改めて就活して内定を取ってから進学するかどうか検討する
  2. 大学院に出願する前に必ず、行きたいと思うラボのPIの業績をPubMedやWeb of Scienceなどで調べる(できればそのPIがauthorに名前を連ねる論文を読んでみる)
  3. 行きたいと思うラボが科研費などのグラントを何年に1回の割合で獲得しているか調べる
  4. 行きたいと思うラボのPIが学会長や研究会長、学会の分科会長などを務めているかどうか調べる
  5. 研究室訪問などの機会を生かして、行きたいと思うラボのOBの就職状況を調べる
  6. (特にM2の場合)学会大会に参加して、他所のラボのPIに行きたいと思うラボの評判を聞く
  7. できればTOEFLなど英語の勉強をしておく

1はいうまでもありません。茨の道だからといって退路を断つのは間違いです。卒業(修了)するまでに進学するかどうか決めかねるような場合に備えて、企業に就職して逃げるという選択肢を確保しておくべきでしょう。そして、内定が取れなかったからといって進学を考えるのは間違いです。往々にして内定が取れない学生が博士課程に進んで、そこでも悲惨なことになるというのが世の中の常。内定が取れなかったのなら、一度留年して改めて就活し直して企業から内定を取りましょう。進学するかどうか迷うのはそれからの話です。

2は肝心のボスがボンクラだったなんていう悲劇を避けるため。ダメなボスほど、研究の指導はできない上に学位も出せなかったりします。学位は出せてもまともな指導を受けられないので業績不足でポスドクにも就けなかったり、ポスドクには就けてもそこで苦労するハメになったり・・・特に気をつけたいのがPIになってから一度も1st authorで論文を書いていないようなケース。こういうのはPIになってから分野換えをしたような手合いが多く、実際の研究はその時々で外から雇ってきた講師や助教に依存してるなんてこともあるので、避けましょう。3は2と連動しますが、ボスがグラントを獲るのが下手だと研究に支障が出ます。うっかりすると学会出張費どころか論文の掲載料(50万円ぐらいすることもある!)まで自腹なんてこともあり得ます。しかも、そういうボンクラなボスに限って自分が科研費取れなかったりするのを「お前ら弟子が頑張らないからだ」とか言って責任転嫁するんですよねぇ。指導もできなくてアカハラするようなボスについてしまうことのないよう、よく見極めなければいけません。

4は「あればいい」程度の話ですが、ボスに多少でも政治力があった方が楽なことが多いです。いくら業績がしっかり叩き出せても、全く口利きのできないボスの下につくと学位を取っていきなり失業しかねません。最低でもポスドクの先ぐらい紹介してくれるボスの方が安全です。

5は意外と重要。ひどいラボだとここ10年ぐらいは博士課程修了したOBの全員がフリーターなんてこともあると聞くので、研究室訪問なり下見なりでラボの院生と話をしてOBの進路を聞いておいた方がいいでしょう。中には「うちのラボになんか来ちゃダメだよ」なんて親切な?アドバイスをしてくれる院生もいたりします。

6はB4だと難しいでしょうが、M2なら必須に近い調査。悪事千里の喩えがあるように、何だかんだで悪い評判は同業者内では広まりやすいもの。学会は学会でも、特に懇親会などの席で酒が入ってテンションが上がってきたところで他のPIから本音を聞きだすのが重要です。「○○先生のところは自分が提案したテーマを選ばない学生には徹底して嫌がらせして退学させる」とか、「××先生のところは自分がeditorial boardをやってる査読の長い雑誌にしか投稿を許さない」とか、「△△先生のところは院生を朝から晩までMRIスキャナに突っ込んで課題の実験台にさせる」とか、色々聞けることでしょう。

7は学位取得後もしくはそもそも大学院の時点で海外に進出する可能性を考えての準備。今後、日本のアカデミアが今のような形で存続するかどうかははっきり言ってわかりませんというか、むしろ滅び行く運命にあると思った方が妥当です。そのような場合に備えてまだ基礎研究に力を入れている国に脱出して研究活動を続けられるよう、最低限英語ぐらいは身につけておいた方が良いでしょう。できればTOEFLで高い点を取っておいて、海外の院で学位を取ることを目指した方がベターです。そうでなくとも、日本で学位取得後に海外に進出して研究するということはぜひ考えておくべきです。

今の世の中は大変世知辛いので、博士課程に進んだ後にどんなに悲惨な目に合わされ、苦境に立たされたとしても、一切合財全て「自己責任」の四文字で片付けられてしまいます。なればこそ、進学を考えている皆さん自身が自衛の手段を講じることが肝要です。教授や准教授の甘い言葉に惑わされてはいけません。皆さん自身の目で全てを見極めた上で、進学することをお勧め・・・いたしません。 :cool:  進学するならご両親とは親子の縁を切り、ご兄弟姉妹とも縁を切り、財産を処分して遺書を書いてからにした方がいいですよ。どのみち今後は博士号を取っても日本では生きていけませんから・・・。

【博士課程に進んでからキャリア選択に迷ったら?】

もしノンアカデミックなキャリアにも興味をお持ちなのであれば、下記に紹介するlanzentraegerさんのblog「うすっぺら日記」における「博士課程の就職活動」カテゴリの記事が参考になると思います。あくまでも個人の例である旨強調されていますが、非常によく総論・各論ともまとめられていて参考になります。必読です。

大事なことは、自分で自分の身を守ることです。何も考えずにアカデミックのキャリアに進んでしまい、雇用がなくなってからあたふたしても何も始まりません。国も民間も、博士のことなど助けてはくれません。皆さん自身が計画性を持ってキャリアパスをデザインしていきましょう。