原油:イランからの輸入削減へ 政府、核制裁の米の要望で

2012年1月12日 11時47分 更新:1月12日 12時56分

 政府は12日、核開発を続けるイランへの制裁を強める米国の方針を受け、イランからの原油輸入量を削減する方針を決めた。安住淳財務相が12日、来日中のガイトナー米財務長官に伝えた。具体的な輸入削減幅は米国と調整する。日本側は、米国がイラン産原油取引の決済を担うイラン中央銀行と取引のある外国銀行に制裁措置を講じる際、邦銀を適用除外にすることを条件に求める方針で、今後、日米両政府間で調整に入る。【坂井隆之、野原大輔】

 安住財務相は12日午前、財務省でガイトナー長官と会談。ガイトナー長官はイランに対する米国の制裁強化に協調するよう要請。安住財務相は会談後の共同記者会見で「イランからの原油輸入量は過去5年で40%削減しており、今後も計画的に進める」と述べ、今後もイランからの原油輸入を計画的に削減していく方針を表明した。ただ、「時間が必要だ」と述べ、制裁措置への猶予を求めた。ガイトナー長官は「日本の支援を高く評価している」と述べた。ガイトナー長官は同日、野田佳彦首相と会談。日銀の白川方明総裁とも会談する予定。

 米国では昨年末、イラン制裁強化の一環としてイラン産原油の輸出遮断を目的に、ほとんどの決済を取り仕切るイラン中銀と決済取引のある外国銀行に制裁を加える条項を盛り込んだ国防権限法が成立した。

 日本は原油輸入量の約1割をイランに依存している。邦銀が制裁対象になれば米国内での金融取引が停止されるが、これを回避するにはイラン中銀との取引を停止し、イラン産原油を全面禁輸せざるを得なくなる。

 政府は、全面禁輸は避ける一方、国際協調の観点からイランからの輸入削減は不可避と判断。その場合、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などからの代替輸入を行うよう商社などに協力を求める方針だ。

 また、会談では、欧州債務危機を巡り、欧州連合(EU)に対して欧州金融安定化基金(EFSF)の資金基盤強化など金融安定化策の強化を求めていくことを確認。為替レートについては、中国など新興国に対して、為替市場の一段の柔軟化を求めることで一致した。

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