2012年1月12日 2時31分
昨年1年間の東京証券取引所の株式の売買代金(米ドルベース)が、米ナスダック市場、ニューヨーク証券取引所に次ぐ世界3位となり、3年ぶりに上海証券取引所を抜きアジア首位に返り咲いたことが11日、分かった。欧州債務危機の影響で世界の株式市場で取引が低迷したが、上海証取は不動産価格の下落など中国固有の要因も加わり、売買代金は約2割近い大幅減となった。
国際取引所連合(WFE)によると、11年の東証の売買代金の合計は4兆3558億ドルで前年比5.8%増。これに対し、上海証取は、3兆6685億ドルで同18.5%減と大幅に減った。1位は米ナスダック市場で28兆9135億ドル(同0.4%減)、2位はニューヨーク証券取引所で19兆3287億ドル(同2.1%増)。上海市場の低迷について野村インターナショナルのアジア担当エコノミスト、木下智夫氏は「大都市部の不動産価格が年間15~20%下落し、投資の手控えムードが広まった」と指摘する。
東証の数値は歴史的水準の円高・ドル安を反映しており、東証1部の昨年1年間の売買代金(円ベース)は前年比3.7%減の341兆5875億円にとどまる。ただ、中国元もドルに対して円並みに上昇しているため為替が「逆転要因」とは言えず、上海市場の低迷ぶりが浮き彫りになっている。【浜中慎哉】