東日本大震災で、地域の防災を担う消防団員が250人余り死亡したことを受け、総務省消防庁は、津波の発生時には、場合によって任務より団員みずからの避難を優先することなどを盛り込んだ消防団の新たな行動指針をまとめました。
東日本大震災で、岩手、宮城、福島の3県では、水門を閉める作業や住民の避難誘導中に津波に巻き込まれるなどして、合わせて252人の消防団員が死亡し、2人が行方不明になりました。
これを受けて設けられた総務省消防庁の検討会は5日、会合を開き、津波が発生した場合、消防団員はあらかじめ設定した時間の中で活動を行い、津波の到達予想時刻が迫った場合は、みずからの避難を優先させるという新たな行動指針をまとめました。
また、この日の検討会では参加した委員から、消防団員の装備の充実を求める声や、市町村などの消防職員の死者・行方不明者が20人余りと、消防団員より大幅に少なかった理由を検証すべきだなどといった意見も出されました。
検討会の座長を務める関西学院大学の室崎益輝教授は「これまで消防団員自身が避難するという考え方がなかったので、今回の指針はこれからの活動の方向づけができたと思う。今後、若い消防団員の育成策の検討も進めたい」と話していました。
総務省消防庁は、今後、5日にまとめた行動指針を全国の自治体に伝え、地域の防災計画などに取り入れてもらうことにしています。
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