マイクロソフトは2月29日、パソコン用OS(基本ソフト)であるウィンドウズの次期バージョン、「Windows 8」の開発途上版「コンシューマ・プレビュー」を一般向けに公開しました。正式な製品版の登場は今年秋の見込みですが、一足先に新しいウィンドウズを体験できます。今回は、このコンシューマー・プレビューの中から、画面や操作で特に大きく変わる部分を見てみましょう。(斎藤幾郎)
操作を一新する「メトロ」
今回公開された「ウィンドウズ8コンシューマー・プレビュー」は、開発途上の、いわゆる「ベータ版」に近いものです。マイクロソフトがあえて「コンシューマー・プレビュー(消費者向け内覧)」と名前を付けたのは、ウィンドウズ8で新しい機能や操作をいろいろ取り入れているため、製品版の発売前に一般のパソコンユーザーに試してもらい、あらかじめ「慣れておいてもらう」ことが一番の理由のように思われます。
それというのも、ウィンドウズ8では、新たに「Metro(メトロ)スタイル」(以下、メトロ)と呼ばれる従来にない操作画面が採用されているためです。メトロは、マイクロソフトが次世代のユーザー・インターフェース(画面構成と操作ルールのこと)として注力しているもの。すでにスマートフォン用のOSである「Windows Phone(ウィンドウズ・フォン) 7.5」(国内ではauから端末が発売中)で採用されています。スマートフォンからゲーム機、パソコンまで、いろいろな機器にメトロの操作画面を搭載することで、共通性の高い操作環境を提供することを目指しています。
そのメトロとは、どのようなものなのでしょうか。
画像1は、ウィンドウズ8を起動し、ログインして最初に表示される「スタート画面」です。名前とアイコンが書かれた大小のタイルが並んでいて、右方向にスクロールできます。情報が表示されているタイルもあります。個々のタイルをクリックすると、画面全体を使ったソフトが起動します(画像2)。これらが、メトロの基本的な画面です。
まるで、スマートフォンや、タブレット端末のホーム画面からアプリを起動しているかのようです。実際、画面のタッチ操作が可能なパソコンであれば、クリックの代わりに指のタッチが使えます。カーソルキー+エンターキーなどの組み合わせでも操作できます。メトロの目的のひとつは、キーボード、マウス、タッチ画面といった複数の入力装置で、それぞれ自然に操作ができるようにすることなのです。また、メトロで動作するソフトは専用のもので、スマートフォン等でなじみ深い「アプリ」と呼び、インターネットの「Store(ストア)」で直接購入、インストールできます。
画面全体のデザインが、立体的な画像表現を控えた平面的な表示になっているのも特色です。これは、地下鉄の路線図のように、シンプルなビジュアルで効果的に情報を表示して、目的地(やりたい作業や得たい情報)に到達しやすくするというコンセプトのもと、意図的にそうしてあるのです。「メトロ」(地下鉄)の名前もこれにちなんだものです。
1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(ビジネスファミ通)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新書)がある。