大阪市が全職員(消防職員らを除く)に回答を義務付けた政治・組合活動に関するアンケートを実施したことで、思想信条の自由を侵害されたとして、職員約2万8000人が加盟する「市労働組合連合会」(市労連)の複数の組合員が、橋下徹市長を相手取り、損害賠償を求めて大阪地裁に提訴する方針を固めた。橋下市長は組合問題に徹底して取り組む姿勢だが、その妥当性を巡って法廷闘争に発展することになる。【原田啓之】
関係者によると、提訴するのは市労連傘下の労働組合に所属し、アンケートに回答した職員。慰謝料などを求める考えで、具体的な金額は今後決めるという。
職員らは「思想信条の自由を侵害された」と主張。橋下市長が「正確な回答がなされない場合は処分対象となりえる」と職務命令で回答を義務付けたことについても、「回答の強要だ」と反発し、「職員としての尊厳を回復したい」と訴えるという。
アンケートは、市特別顧問の野村修也弁護士のチームが発案。橋下市長も了承し、2月9~16日に職員約3万5000人に実施した。質問は▽労組への加入▽政治家を応援する活動への参加▽職場関係者からの投票要請--の有無などを尋ねる内容で、調査範囲は勤務時間外のことまで及んでいた。
大阪府労働委員会は先月、アンケートは労働組合法で禁止する労組への支配介入に当たる恐れがあるとして、調査の中断を勧告。野村氏は今月1日、府労委の最終判断が今月中に出なければアンケートを未開封のまま廃棄すると表明している。
2012年3月10日