2輪の花と交換しますね。大好きな彼女にお花を渡すような表情でお願いします！

もう大丈夫だよ。こんな感じだよね?　この花いい香りだね。

----そんなアクシデントがインタビューラッシュで少し疲れていたウォンビンと、緊迫した現場の空気をリラックスしたムードに。このおかげで、さらに力の抜けた柔らかい表情へ。

----撮影後、インタビューへ。ソファーに座りながら、両手で膝を抱えたキュートなスタイルで答えてくれました。

3つ質問をさせてください。

はい、わかりました。

まず１つめは、今までのヒット作品『ブラザーフッド』『母なる証明』など、誰かに守られる役が多かったと思いますが、新作『アジョシ』では、誰かを守る役となっています。そういった役を演じる作品を選んだのは、なぜですか?　その心境を教えてください。

まず、『アジョシ』というタイトルが非常に気になったんです。そして台本を読んだときに1ページめから最後のページまで、ずっと楽しみながら読めたんです。今回は、少女を守るためのアクションが盛りだくさんに出てくるんですけれども、アクションだけではなくてテシクという人物が抱えている心の悩みや少女ソミとのあたたかい触れ合いなど、内面が情緒的に表現されているいるところに魅力を感じたんです。

「アジョシ＝おじさん」確かに、気になりますよね。おじさんと呼ばれる容姿からは、かなりかけ離れていますもんね。

まだ、おじさんにはなりたくない（笑）。おじさんという呼び名はあまり良い響きではないのですが、この映画を通しておじさんという呼び名の印象が良く変わってくれると嬉しいです。

2つめです。テシクとウォンビンが似ている点は、どこだと思いますか？

僕たちは、けっこう似ています......。今のは冗談ですよ（笑）。　テシクとは、ほとんど似ていないです。ただ口数が少ないところは似ているかな。

ウォンビンは口数が少なく人見知りとよく聞くのですが、現場では冗談もよく言われるとお聞きしました。

現場というのはやはり皆が固くなっていることが多いので、そういう時にひとつ冗談を言うだけでも雰囲気ががらりと変わったりするので。できるだけ冗談を言おうと思っていました。

----はい、これで終わりになります!（スタッフ）

え!　もう、終わりなんですか......。時間ですもんね。ありがとうございました。

質問は3つじゃないの?　まだ、2つしか質問していないよ。

----ウォンビンさん。でも、もうお時間なので。（スタッフ）

でも、質問は3つと始めに言っていたよ。

----次が詰まっているので。（スタッフ）

優しいですね。その気持ちだけで十分です。ありがとうございました!

......。ありがとうございました。

日本語で「ありがとうございました」と言いながらも、少し申し訳なさそうな表情で部屋を去って行ったウォンビン。視線をそらさず柔らかい口調でゆっくりとインタビューに答えてくれたり、撮影中にソファーや机を動かすのを手伝ってくれたり。そして最後に、インタビュー嫌いで有名なウォンビンが、「質問は3つじゃないの?」と気を配ってくれたこと。ウォンビンがインタビュアーに質問をさらに聞くのは極めて珍しいことなので、リラックスしていた証拠ですねと、後ほど広報の方から。3つの質問というお願いを、時間がオーバーしても守りたいと思うウォンビンの優しさ。そんなウォンビンの気遣いや、約束は守るという強さが『アジョシ』のテシクでも見られるのだと思います。