オセロ中島、洗脳解けても心の整理に時間…弁護士が示唆

　自称占い師の女性（４３）による洗脳状態にあるとされる、お笑いコンビ「オセロ」の中島知子（４０）の一連の騒動で、法的バックアップを担当している、とされる山口広弁護士（６２）が９日、岡山市内で取材に応じた。山口氏はあくまで一般論、と強調した上で、中島が本来の状態に戻ってから女性に対して法的手段に出る場合、「人それぞれだが、長い人なら（裁判に至るまで）１０年かかる」との見解を示した。全面解決までは長期戦になりそうだ。

　山口氏はこの日、事務局長を務める「全国霊感商法対策弁護士連絡会」（全国弁連）の全国集会に出席。終了後に取材に応じた。中島の騒動については守秘義務から「何も話しようがありません」と口をつぐんだ。

　しかし、「一般論ですが」と前置きした山口氏は、洗脳状態で奪還された人物が立ち直り、裁判を起こすまでの期間について言及。「マインドコントロールを解いても、心の整理がつくまでは人それぞれ。早い人なら数か月だが、長い人なら１０年かかる」との見解を示した。

　山口氏は法曹界では「カルト問題の第一人者」とされ、精神的にどん底に沈んだ被害者救済のスペシャリストと言われており、中島の周辺が今後の占い師の女性との関係の清算に向けて“援軍”を求めたとみられる。

　裁判に至っても、決着までの道のりもまた険しいようだ。山口氏は「統一教会は（洗脳を）組織的にやっているので立証しやすい」とする反面、中島のような個人の「街の占い師」に被害を受けたケースについては「個別の立証がとても難しい。一概に何とかなる、とは言えない」と話した。

　この日の集会で山口氏は、霊感商法に関する東京高裁での判決を報告。統一教会との裁判の一つが昨年、４年あまりで判決に至った。「以前よりは早くなったが、標準的でしょう。（今後の被害者たちへの）追い風にはなると思う」と一定の評価を与えたが、立証しやすいケースでも４年はかかるのが実情のようだ。

　中島は先月２８日に関係者に都内の自宅から連れ出され、現在は別の場所で専門家にカウンセリングを受けていると見られる。症状は不明だが、洗脳状態が予想以上に深刻だった場合、立ち直った後に損害賠償などを求めて提訴しても、相手は立証しにくい個人占い師。判決という決着がつくまでには１５年、２０年と膨大な時間を要する可能性もありそうだ。

　◆父は東京？母「いや〜」　〇…中島の京都市内の実家ではこの日、母親が「何か連絡？　ありません」と話し、父親は東京にいるのかという問いには「いや〜」と小首をかしげ、肯定も否定もしなかった。冷え込みの厳しくなった夜には報道陣約１０人に対してポット入りの温かいお茶を振る舞ったが、質問には笑みを浮かべながらも無言だった。

　◆山口　広（やまぐち・ひろし）１９４９年６月２６日、福岡県生まれ、６２歳。７２年に東大法学部を卒業後、７５年に司法試験合格。７８年から弁護士として活動を始め、消費者問題に取り組む。全国霊感商法対策弁護士連絡会では８７年の設立時から事務局長を務め、精力的にカルト（反社会的宗教集団）の被害者救済にあたっている。第二東京弁護士会所属。

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