開幕戦を前にミニゲームで調整する玉田=トヨタスポーツセンターで(七森祐也撮影)
|
 |
本拠地の豊田スタジアムで清水を迎え撃つ名古屋グランパスのFW玉田圭司(31)が9日、開幕戦の主役になる意気込みを示した。玉田にとって清水は、この2年間4試合で6得点と完全にカモにしている相手。さらに開幕戦はこの3年間で2得点を挙げるなど、こちらも得意の舞台だ。左足首痛を抱えながらの強行出場となるが、頼れるエースが12年の“快幕ゴール”を奪う気配は十分だ。
高速ドリブルでオレンジ軍団を切り裂くシーンが目に浮かぶ。玉田は06年のグランパス移籍後、11試合で8得点。ここ4試合でもハットトリックを含む6得点。誰がどう見ても、清水との相性は抜群だ。しかしその要因を問われると、「うーん…ない! 正直ない!!」と断言。
「決めてるなっていうのはあるけど、毎年毎年チームは変わるし…」と首をひねった。
ただ、玉田を後押しするデータはまだまだある。「いいイメージはある」と話す開幕戦では、09年大分戦、10年G大阪戦と、ここ3年間で2得点。さらにエースに引っ張られるように、グランパスは02年磐田戦を最後に開幕戦での不敗神話を9試合に伸ばしている。それだけに、「点につながるプレーをできれば、チームも自分も乗っていける。それは意識したい」と、ゴールに絡む“仕事”を宣言した。
開幕にこだわる理由もある。昨年は横浜Mに引き分け、序盤の6試合で1勝しかできなかったことが、V逸の最大の要因となった。「開幕戦は34分の1という考え方もあるけど、去年自分たちはつまずいた。失敗を教訓にしないと。1年間安定して戦うにはスタートが大事」。得られる勝ち点は変わらない。しかしその重みは違うことを、プロ14年目の開幕を迎える男はわかっている。
2日前の城南とのACL初戦の疲労もあり、この日チームは軽めのメニューで引き揚げた。玉田も左足首痛を抱えるが、タイトなマークを受けたことで逆に試合勘は研ぎ澄まされた。「去年よりいいチームになったと思ってもらいたいし、今年も玉田はいいなと思ってもらいたい」。百戦錬磨の左足に、赤く染まったスタジアムが沸騰する。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する