高い放射線量と酷暑の中で事態悪化を食い止めようとしていた作業員の姿です。
2011年7月に福島第1原発の高濃度汚染水処理施設の内部で撮影された映像があります。
そこには、高い放射線量と酷暑の中で、事態の悪化を食い止めようとしていた知られざる作業員の姿がありました。
陽気なメロディーが流れる中、黙々と掃き掃除をする白い防護服を着た作業員たち。
ここは汚染水が流れる福島第1原発、高濃度汚染水処理施設の中。
震災から4カ月後の7月、ジャーナリストの鈴木智彦氏が、作業員として働いていた時にひそかに撮影した。
プラントメーカー担当者は「(1号機付近は)何が落ちているのかわからないので、不用意に近づいたり、触れたりしないでください」と話した。
鈴木氏は、およそ5時間という短い講習のあと、原発の復旧作業へ向かった。
その途中、目にしたのは、海外メーカーと合同で設置した汚染水の浄化施設。
そこで、「(汚染水が)ダダ漏れ」と話す作業員に、撮影者が「ダダ漏れなの?」と聞き返す場面があった。
決められた作業時間は、1日およそ3時間。
作業員たちは、気温30度を超す過酷な状況下で働く。
福島第1原発の元作業員のジャーナリスト・鈴木智彦氏は「かなり線量が高くて、普段の10倍ぐらいと。僕らの働いた施設の地下に、高濃度の汚染水をためていたらしいんです。僕らはそういうことを全く知らなかったですね」と話した。
作業員たちは、一時的な休憩所にもなっている、プラントメーカーのビルにいったん集まる。
しかし暑い。
マスクを外してたばこに火をつける数人の作業員たち。
監督は「あっちの方で吸ったほうがいいぞ。なるべく、なるべく」と話した。
監督が、あっちの方で吸えと勧めた先は、シェルターだった。
原発敷地外に設置された休憩所。
しかし、その中にあっても、常に被ばくの危険にさらされている。
猛暑の中、防護服を身にまとい、復旧に努めた作業員たち。
彼らは今、極寒の中で作業を進めている。
(03/10 01:21)