「高校無償化」神奈川中高校長が談話、〝一日も早く適用を〟
神奈川中高で記者会見を行い、朝鮮学校への「無償
化」制度の適用を求める関係者たち |
朝鮮学校への「高校無償化」制度適用に関する問題で、神奈川朝鮮中高級学校校長、生徒、保護者、神奈川朝鮮学園理事長らが9日、同校で記者会見を行い、制度の即時適用をあらためて求めた。
昨年8月末、菅直人首相(当時)の指示で朝鮮学校に対する審査の手続きを再開してから半年以上が経ち、今月3、4日には、各地の朝鮮高級学校の生徒たちが「無償化」制度から除外されたまま、2度目の卒業式を迎えた。
これについて、神奈川中高の姜文錫校長は談話を発表。日本政府と文科省は、自らが示した「無償化」制度の趣旨や統一見解、審査基準を踏みにじり、政治外交問題を口実に審査を先延ばしにしており、この対応は不誠実で、到底受け入れられるものではないと指摘。
また、朝鮮学校だけが除外されているという深刻な民族差別が2年も続いていることは、あまりにも理不尽だとしながら、日本の植民地支配の犠牲者であり、日本国民と同じく納税義務を果たしている在日朝鮮人とその子どもたちが、なぜ差別を受けなければならないのかと述べ、審査を公正かつ速やかに行い、一日も早く「無償化」制度を適用するよう強く求めた。
神奈川中高の張晟嶺さん(高2)は、「サッカー部でキーパーを務めているが、高体連の大会にも出場し、日本の高校生と同じ土俵で戦っているし、日々、勉強と部活、生徒会の活動に励みながらごく普通に高校生活を送っているのに、どうして私たちだけが除外されるのか」と語り、当たり前の権利を獲得できるまでたたかい抜く生徒たちの思いを代弁した。
この2年間、朝鮮高級学校の生徒たちと保護者は、街頭宣伝や集会に参加し、制度適用の実現のために声を上げてきたが、朝鮮学校に対する日本政府と文科省による差別は、自治体の補助金凍結、ねつ造記事による差別意識の助長などにつながっており、朝鮮学校を取り巻く環境は「無償化」制度実施以前よりも悪化した。
同校オモニ会会長の朴京愛さんは、卒業式(4日)に参加した際、1、2世が血と涙と汗で築き守ってきた学校で、今も子どもたちがその魂を受け継いで堂々と巣立っていく姿に心から感動したことなど、朝鮮学校の魅力について述べながら、「無償化」制度実施前の状況に戻してほしいと涙ながらに訴え、「保護者としては『卒業』したが、教育権利を勝ち取るために今まで以上にがんばっていく決意を新たにした」と語った。
神奈川朝鮮学園の禹載星理事長は、「子どもたちを政治の駆け引きに利用しないでほしい」と強調しながら、朝鮮学校の卒業生が日本社会に広く寄与する一方、差別は広がるばかりであると指摘。朝・日平壌宣言の履行項目に在日朝鮮人に対する処遇改善が記されているが、「『無償化』除外によって発生した問題について日本政府は責任取るべきだ」。
また、全国朝鮮全国朝鮮高級学校校長会会長の慎吉雄・東京朝鮮中高級学校校長(4日)をはじめ、各地の校長たちも卒業式を終えて談話を発表した。(裕)