原子力発電所から30キロ圏内の自治体にNHKが尋ねたところ、原発が立地する自治体以外で「電力会社との『安全協定』を新たに結びたい」と答えたところが71%に上りました。
安全協定の締結を希望する自治体は増える傾向にあり、周辺の自治体も今後原発の運転などに関わろうとする動きが活発化すると予想されます。
NHKは、原発から半径30キロ圏内にある道府県と市町村のうち、福島県内を除く142の自治体に今月、アンケート調査を行い、すべてから回答を得ました。
このうち原発が立地する自治体以外の周辺自治体に対し、事故の通報が来たり、立ち入り調査を行ったりする根拠となる「電力会社との安全協定」について尋ねたところ、すでに結んでいる自治体を除くと、71%が「結びたい」と答えました。
これは、前回、去年10月下旬に行った同じ調査に比べて7ポイント増えています。
周辺自治体からは「立地自治体と同様のリスクを負うことになった。リスク回避に膨大な費用を強いられるのならば、原発の運転の意思決定に参加することは当然」(島根県雲南市)、「立地と周辺に壁はない」(長崎県松浦市)、「市民の安全・安心のために発電所の運営や在り方に意思を反映できる仕組みが必要」(愛媛県八幡浜市)、といった意見が寄せられました。
原子力の政策は、これまで立地自治体が深く関わってきましたが、東京電力福島第一原発の事故で被害が広範囲に広がったことをきっかけに、周辺自治体も今後、原発の運転や安全に関わろうとする動きが活発化すると予想されます。
しかし、鳥取県が去年12月、2つの市とともに中国電力と島根原発を巡る安全協定を結んだ際には、自治体側が要求していた立ち入り検査や、新たに原発を建設する際の事前了解を得ることなどが合意しませんでした。
また石川県内では、原発から30キロ圏内にある七尾市など3市が、去年10月、北陸電力に対し、立地自治体と結んでいる安全協定に加えるよう要請しましたが、北陸電力や石川県などから「立地自治体との安全協定は歴史的な経緯がある。立地自治体と周辺自治体は立場が異なる」として慎重な意見が出ていて、各地で周辺自治体の安全協定の締結は容易に進んでいません。
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