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科学
記録不備、原因究明の障害に 議事概要
2012.3.10 01:21
福島第1原発事故への対応や避難区域の設定など、政府の意思決定を担った原子力災害対策本部の「議事概要」が震災から1年を目前にようやく公表された。
ただ、議事概要は、発言内容の要旨を箇条書きで羅列するだけで、発言者が特定できていないケースも散見される。政府の意思決定が、どのような議論に基づいて判断されたか、不明な点を多く残した。
記録の不備は事故原因究明など、後世の検証の障害となるが、特に事故直後の1週間について、経済産業省原子力安全・保安院の担当者は「メモの情報もほとんどない。当時は切迫した状況で、資料を集めきれたか確証はない」とする。
こうした姿勢は、事故直後の詳細な議事録を公開した米原子力規制委員会(NRC)とは雲泥の差だ。3千ページ以上にわたる議事録は録音に基づき作成され、委員同士の生々しい会話や、発言の言い回しまで正確に再現している。「議論の議事録を取って公開することは慣行だ」(NRCのメザーブ元委員長)との指摘を待つまでもなく、日本政府の情報管理体制の不備は糾弾されてしかるべきだ。
「録音がなく、これ以上詳細に復元することは難しい」(保安院担当者)とするが、本当にこれだけなのか。「政府が原因究明を阻んだ」との非難は免れない。(原子力取材班)
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