県立病院機構「県立循環器・呼吸器病センター」(栗原市)で昨年7月に脳梗塞(こうそく)の無職男性(当時82歳)が死亡した医療事故を巡り、男性臨床工学技士(48)らが業務上過失致死などの容疑で書類送検された事件で、使用法を熟知しないまま新しい医療機器が使われていたことが分かった。捜査幹部は「患者の命を取り扱っているにもかかわらず軽率だ」と指摘している。
県警によると、死亡した男性の治療に使われていた心肺補助装置(PCPS)は事件当時、コンセントが抜けたまま放置され、予備バッテリーの電源も切れて電源が停止。停止に気づいた医師ら8人はいずれも再稼働の方法を知らず、短期間で復旧させられなかった。
これに対し、同センター事務局は、納入業者による機器の取り扱い説明会でも再稼働法は示されなかったとし、「予備バッテリーを備えていると聞いており、完全停止したことは想定外だった」と釈明。ただ、同センター関係者は「(日々納入される全ての機器の)使い方を完全に把握するのは困難」とも打ち明けた。
県立病院機構の菅村和夫理事長は「機器の操作に関する研修回数を既に増やすなど再発防止策を取っている」とコメントした。【竹田直人】
毎日新聞 2012年3月9日 地方版