ソニー・コンピュータエンタテインメント Jプロモーション部 西島卓、安達公平
西島卓氏(写真左)。1997年SCE入社。海外ソフトウェア部を経て、現在Jプロモーション部所属。プロモーション担当タイトル:『ローグギャラクシー』、『ワンダと巨像』、『やるドラ ポータブル』シリーズなど 安達公平(写真右)。1995年SCE入社。宣伝部でフォーマットプロモーションに携わり、現在はJプロモーション部所属。プロモーション担当タイトル:『バイトヘル2000』、『【Hg】ハイドリウム』、『SIREN2(サイレン2)』など |
ゲームが店頭に並び、ユーザーの手元に届くまでには、クリエイターだけでなく多くのスタッフが携わっている。今回は、誕生したゲームに一番最初に触れるユーザーであり、その魅力を世間に広める役割を担うプロモーション担当スタッフを直撃。テレビCMや雑誌の記事など、普段何気なく目にしている情報を発信する彼らの立場から見たゲームの魅力とは?
クリエイターが制作したゲームが店頭に並ぶまで、プロモーションの担当者はどのようなお仕事をされるのですか?
西島:なんでしょうね。やることが多くてパッと言えないです。メディアを介してゲームの魅力を伝えるのが最もメインになりますが、メディアも雑誌・TV・ラジオ・Web・店頭・街頭と多岐に渡りますし…。
安達:そうですね。そういったパブリシティ以外にも、CM広告制作やイベントの開催などなど、何でも屋といったところです。世の中へ発信する際の商品の見え方を考え、コントロールする側なので、他部署から色々と確認作業も舞い込む感じです。
プロモーションする立場として、ゲームというメディアにどのような魅力を感じますか?
西島:個人的にはゲーム=エンタテインメントとか作品とか言うのって格好つけすぎだと思います。おもちゃというと低年齢のイメージですが、もっとこう「楽しいもの」「面白いアイテム」であってほしいですし、気軽に楽しめるものでいてほしいです。ゲームにはそういう魅力を感じますし、いつまでもそうあってほしいと。
安達:すべてのエンタテインメントと関わり合いを持てるジャンルの娯楽がゲームだと思っています。ゲーム制作やプロモーションの場面において、映画・音楽・コミック等、分野を選ばずに深く接することができるのはゲームならでは、じゃないでしょうか。
プロモーションする上でゲームというメディアならではの難しさはありますか?
安達:映画や音楽と違って2時間くらい付き合えば、とりあえずその世界を把握できるというものではないので、そのゲームの言わんとすることを理解するのに、時に膨大な時間を要することですね。
西島:ですねぇ。シナリオやゲームの仕様書だけ見ても、最終的なプレイヤーフィールまで分からないことが多く、それはすなわち「このゲームが何であるか」を、発信者である自分が理解出来ていないという不安に繋がります。
"PlayStation 2"用ソフト
「蚊」
2001年6月21日発売
多くのタイトルをプロモーションされてきたと思いますが、特に印象深いタイトルを教えてください。また、そのタイトルをプロモーションした際の面白い、または辛いエピソードなどがあれば教えてください。
西島:なんでしょう。『蚊』とか『SIREN(サイレン)』とか、新作で成功したタイトルは印象強いですね。社内で「それほど売れないのでは?」という声が多いゲームの方が、担当していて燃えます。あと毎日がオモシロ事件満載なので、特に面白いエピソードってのは、ないですねぇ。でもって毎日が仕事だらけなので、それが辛いと言えば辛い。
安達:『リンダキューブ アゲイン』や『ぼくのなつやすみ』といったような、プロモーション初期にあまり周囲から期待されていなかったタイトルが発売直前に期待値が大きく膨らんだりすると、やはり印象深いですね。辛いエピソードは、このインタビューを受けている今現在、38度の熱があることです。
"PlayStation"用ソフト 「リンダキューブ アゲイン」 1997年9月25日発売 |
"PlayStation"用ソフト 「ぼくのなつやすみ」 2000年6月22日発売 |
「ゲームやろうぜ!2006」は尖った才能を持つ新しいクリエイターの発掘を目的としていますが、このオーディションをきっかけにどのようなゲームやクリエイターが出てきて欲しいと思いますか?
安達:「やりたいこと」「伝えたいこと」が明確に分かるゲーム。そういうものを創る人がもっと増えると良いなと思います。もうオヤジなので平気で野球に例えますが、ゲームをバットとするならば、芯の通った、しっかりしたバットであるほど、僕ら選手がフルスイングしたとき飛距離が出ると思ってます。コンセプトの弱いバットだと、なんとかミートしても飛距離が出ない…。
西島:それと、ゲームに造詣が深い人が良いとは限りませんね。そうでなくても、人を楽しませる術を知っている人なら、良いものを創れると思いますから。実力のあるクリエイターほど、話も面白いし、何より人間的魅力が詰まってますね。飲み会で笑いのひとつも取れない人がゲーム作っても、良いものは出来ないと思いますよ。
これから応募を考えている方に、プロモーション担当の立場からアドバイスをお願いします。
西島:コンセプトや購入するユーザーがはっきり見えているゲーム。逆にそれを伝えられないと、良く出来ているゲームでも審査側の印象が弱くなるかと。商品として、どこに価値があるのか伝えることが出来れば、それはすなわちユーザーさんにも伝わりやすいゲームだと思いますし。あとは、独りよがりに創らないで、是非ユーザー視点で考えて創ってほしいですね。
安達:僕も、西島と基本的には同じです。「自分自身がやりたいコト」を煮詰めた上で「どうやって人を楽しませるか」を更に考えていったゲームが良いゲームだと思っています。実現したい方向性がブレないように、上手にサービス精神を盛り込んでいったゲームであれば、商品化に非常に近い位置に付くことができるのではないでしょうか。あと、“動詞”で簡潔にゲームの性格を言い表せるタイトルは、プロモーションをする上でも非常にやりやすいことが多いです。
ご協力ありがとうございました。
"PlayStation 2"用ソフト 「ローグギャラクシー」 2005年12月8日発売 |
"PlayStation 2"用ソフト 「ワンダと巨像」 2005年10月27日発売 |
PSP(R)用ソフト 「バイトヘル2000」 2005年12月22日発売 |
PSP(R)用ソフト 「【Hg】ハイドリウム」 2005年8月4日発売 |
次回予告
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