新たに男４人を逮捕　東海市女性死亡　

　愛知県東海市の会社員相川比奈江さん＝当時（４８）＝が連れ去られ、遺体で見つかった事件で、愛知、岐阜両県警の合同捜査本部は９日、加害目的略取の疑いで、韓国籍、無職文昇容疑者（５４）＝名古屋市中村区＝ら男４人を新たに逮捕した。事件で逮捕されたのは計６人。捜査本部は相川さんの死亡した経緯などを調べ、死体遺棄容疑などでの立件に向けて、事件の全容解明を目指す。

　ほかに逮捕されたのは、いずれも住所、職業不詳の伊藤次郎（４６）、戸島義男（７２）と、住所不詳、無職野畑直志（４６）の各容疑者。捜査本部によると、４人とも容疑を大筋で認めている。

　関係者によると、４人の中に元暴力団関係者が含まれているという。

　逮捕容疑では、同じ容疑で既に逮捕されている金型製造会社「プロスワン」社長、市川孝之容疑者（４５）＝岐阜県各務原市＝と、プラスチック加工会社「東輪化学工業」社長、小川卓美容疑者（５３）＝同県輪之内町＝と共謀し、昨年１１月７日、東輪化学の敷地内で相川さんを、危害を加える目的で車に押し込んだとされる。

　捜査関係者などによると、小川容疑者が商談を装って相川さんを東輪化学に誘い出し、市川容疑者らが連れ去ったとみられる。小川容疑者の弁護士によると、事件当日、東輪化学周辺で、市川容疑者以外に２人の男が目撃されていた。捜査本部は６人の関係や役割を調べる。ほかにも共犯者がいる可能性があるとみている。

　相川さんの勤務する東海市のリサイクル会社「富田日中貿易」と、市川容疑者の父親が経営する金属会社＝各務原市＝は取引をめぐって金銭トラブルになり、訴訟に発展。相川さんと市川容疑者は当初、双方の取引担当者だった。

　市川容疑者は相川さんと連絡が取れないことを不満に思っていたといい、捜査本部は仕事上のトラブルが事件の背景にあるとみている。

　捜査本部は連れ去りから相川さんの死亡、死体遺棄までを一連の事件ととらえており、略取容疑を固めた後、死亡の経緯などについて、６人を本格的に調べる。小川容疑者が連れ去りの実行行為に関与した可能性は低いとみている。

　相川さんが失踪した直後に所持品や車が愛知、岐阜、三重の３県で広範囲に捨てられているのが見つかり、先月２１日、岐阜県御嵩町の山林脇の側溝で、遺体で発見された。

　捜査本部は市川、小川の両容疑者を先月末に逮捕し、現場での聞き込みなどから、市川容疑者の周囲に複数の共犯者がいるとみて特定を急いでいた。

　捜査本部は９日、逮捕の事実と容疑者名を初めて公表した。

（中日新聞）