テキサス地元紙が“ダルビッシュ叩き”!不穏当発言の代償

2012.03.09


会見では笑顔も出たダルビッシュだったが…(共同)【拡大】

 【米アリゾナ州ピオリア=笹森倫】米大リーグ・レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)の発言が、早くも波紋を呼んでいる。オープン戦初登板となった7日(日本時間8日)のパドレス戦では、2回に中堅フェンスを直撃する特大の二塁打を許したが「そんなとらえられた感じはしなかった」とコメント。これにテキサスの地元紙が「不穏当だ」と警告すれば、打った当人も「もう少し謙虚になったら」と不快感を示した。

 「ダルビッシュはまだ、この現実を認められないんじゃないか」

 試合後、日米のメディアに囲まれて半ばあきれ気味にそう話したのは、メジャー4年間で通算36本塁打のウィル・ベナブル外野手(29)だ。

 2回無死、カウント2−2から外角148キロの速球を振り抜くと、推定134メートルの大飛球はピオリア球場の高い塀に阻まれる中堅フェンス直撃の二塁打に。ダルビッシュから放った、この日一番の当たりとなった。

 一般的な球場なら本塁打になっていたこの一打について、ダルビッシュは試合後の会見で「乾燥もあるし、風もあるから、普通よりかは伸びてるとは思ったが、そんなとらえられた感じはなかった」と話した。

 この発言を伝え聞いたベナブルは、明らかに耳を疑った。大リーグでこうしたケースなら、相手の打撃をほめるのが通例だからだ。その場は「コメントは控える。でもしっかりとらえた打球だった」と本音を飲み込んだが、その後に本拠地サンディエゴのラジオのインタビューですべてぶちまけたのだ。

 テキサスの地元紙「スターテレグラム」(電子版)がことの経緯を詳報している。ベナブルのコメントはこうだ。

 「(大飛球は)風のおかげだよ。彼が『あの一球はとらえられたと思ってない』と言っているらしいからね。よくわからないが、翻訳の間で誤解が生じたか何かだろう。でもアイツからは、もう少し謙虚な言葉を聞きたかった。自信たっぷりなやつなんだろうね」。そして最後は「もちろん、オレはボールをとらえられなかった。だって彼はダルビッシュ有なんだからね」と強烈な嫌みで締めくくったという。

 同紙はこの問題を「ちょっとした不穏当発言でミソがついたダルビッシュ有のデビュー」という見出しで掲載。「試合後の会見は『とらえられていない』の部分以外はよかった。この発言はメジャー全球団のクラブハウスに知れ渡るだろう」と警告を発している。

 さらに1月の入団会見以来、「日本から来たキッドは正しいことしか言わない。これからも変わらないだろう」と指摘。「技術面となると、若い上に日本人なのに、相手打者をほめない昔気質のメジャー投手のように勝ち気だ」と評している。

 米ヤフースポーツも同様の見解。フィリーズの通算188勝エース、ロイ・ハラデー投手(34)が大胆不敵かつ傲岸不遜で、打者をほめたがらない部分がダルビッシュに重なるとして、「インタビューは彼にとって最も過酷な試練になるかもしれない」とみる。

 一夜明けた8日(同9日)も余波は続き、レンジャーズのロッカールームでは発言の真意を通訳のジョー古河氏にただす米メディアの姿も。ワシントン監督も意見を求められ、「有は有でいいんだ。感じたことを言えばいい。ベナブルも思ったことを言っただけ。別の話題にいこう」と困惑気味に話した。

 リップサービスを「相手に失礼」として好まないダルビッシュの際どい物言いは、絶対的な実績を誇った日本ではカリスマ性の一部となってきた。だが米国では、まだ公式戦で1試合も投げていないルーキー。この日の「不穏当発言」で闘争心に火がついたメジャーの打者たちが、「新参者の鼻っ柱を折ってやる」と舌なめずりして向かってくるのは必至だ。

 力勝負を望んで海を渡った右腕は、猛者たちをねじ伏せられるか。

 

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