ニュースリリース
2009年10月14日
株式会社麻生 飯塚病院とピッツバーグ大学メディカルセンター(※1)は、医師の研修指導体制拡充を目指して研修教育に関する契約を締結いたしました。(※注)
この提携により飯塚病院では今後2年間で、世界的にも評価の高いピッツバーグ大学の教育カリキュラムや教育技法・指導方法などの臨床教育に関する豊富なノウハウを柔軟に取り入れた、独創的で魅力ある研修プログラムを開発するとともに、研修医に対する指導体制の強化を図り、「全国から若手医師が集う教育病院(※2)」を目指します。
今回の研修教育契約は、10月9日にアメリカペンシルバニア州ピッツバーグ市にて、麻生 泰(株式会社麻生 代表取締役社長)、田中 二郎(飯塚病院 院長)と、Jeannette South-Paul(ピッツバーグ大学メディカルセンター家庭医学科教授)他関係者が出席して調印式を行い、正式に締結したものです。
契約期間は2009年4月から2011年3月まで、この間、2ヶ月に1度、ピッツバーグ大学メディカルセンターから指導経験豊富な医師(主に家庭医)が2名ずつ2週間来院して、当院研修医への直接指導やカンファレンスへの参加、初期研修および後期研修医の各専門科研修などのカリキュラム開発に対する助言を行います(※3)。この教育研修は2009年4月より先行して施行されています。
とりわけ家庭医(※4)育成のためのプログラムは、当院で既にスタートしている「飯塚・頴田家庭医療プログラム」自体が日本では先駆的なものであることに加え(※5)、ピッツバーグ大学メディカルセンターは「家庭医学科」を有する全米有数の家庭医育成機関であることから、契約によって飯塚病院が日本では数少ない家庭医およびその指導医の供給の基地となり、全国各地での地域医療再生に大きく貢献することを目指しています。
(※注) | 契約は、株式会社麻生とUniversity of Pittsburgh Physicians, Inc.の二者間で締結しております。 |
(※1)ピッツバーグ大学 |
附属病院である「ピッツバーグ大学メディカルセンター(以下、UPMC)」は、アメリカ・ペンシルベニア州最大の総合医療センターで、U.S. News & World Report誌の「America’s Best Hospitals」に8回選出されるなど、全米有数の非営利医療機関で、同地域最大の雇用主として45,000人の従業員を抱えています。日本でも積極的に各地で講演や医師派遣、留学受け入れの実績を有しており、日本で活躍している家庭医の多くが同大学において研修を受けています。 |
(※2)「教育病院」としての飯塚病院 |
飯塚病院は平成元年度に旧厚生省より臨床研修病院の指定を受け、同時に卒後研修教育講座を開始しました。これにより、当院での卒後教育研修が本格的に開始されました。当院の研修システムには、当初からプライマリ・ケアの教育を重視する総合診療方式(スーパーローテート方式)を導入しています。 平成10年以降は、総合診療方式に加えて1年上の先輩医師が1年下の後輩医師を順次指導する「屋根瓦方式」を導入しました。現在この方式は、当院の研修システムを代表するものとなっています。その後も研修プログラムは進化を続け、研修病院として高い評価を受けるに至っています。昨年度、医学部6年生が卒業後の研修先を決める制度(「医師臨床研修マッチング」)において、研修先として第1希望にあげた医学生の数が全国の市中病院(大学病院以外の病院)のうち9番目に多いなど、毎年全国から研修医が集まってくるようになりました。 |
(※3)来日時の指導内容 |
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(※4)(※5)家庭医および家庭育成プログラムについて |
家庭医は、幅広くしかもある程度深い知識と技術を要し、年齢性別を問わず(産科・小児科も含む)頻度の高い疾患(common disease)の診断と加療までをカバーします。今後家庭医の育成は、日本の医療危機への対策の一つと考えられ、近年若い医師たちも関心を高めています。 現在、日本において家庭医養成プログラムを持ち合わせている施設はいくつかの大学病院と数ヶ所の民間施設に限られています。飯塚病院は医療法人博愛会頴田病院と共同で、2008年度から、日本家庭医療学会より家庭医療後期研修プログラムの認定を受けていますが、2008年度の時点の認定プログラム数は全国で81しかない稀少なプログラムです。 |