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本社世論調査:福島「暮らし悪化」57% 全国平均23%

震災前と比べて暮らしは良くなったか
震災前と比べて暮らしは良くなったか

 毎日新聞は3、4両日、東日本大震災から1年を迎えるのを前に、全国世論調査と、岩手、宮城、福島の被災3県だけを対象にした世論調査を同時に実施した。震災前と比べ、暮らしが「悪くなった」と答えた人は、全国平均で23%だったのに対し、東京電力福島第1原発事故を抱える福島県では倍以上の57%に達した。「これからの生活で最も不安に感じること」も、福島県は「健康」が最多の53%。岩手、宮城両県はともに「仕事や収入」が最も高く、それぞれ36%、34%だった。

 震災後の暮らしぶりの変化を聞いたところ、岩手、宮城両県で「悪くなった」と答えた人はそれぞれ31%、35%だった。両県では、「変わらない」がともに6割強を占め最多。一方、福島県では、「悪くなった」(57%)が最も多く、「変わらない」は40%にとどまった。

 福島県と、岩手、宮城両県では関心事も異なる。国に最も力を入れてもらいたいことを聞いた設問で、福島県は「医療」を挙げる人が最も多く36%。原発事故に伴う放射能汚染への懸念が浮き彫りになった。一方、岩手、宮城両県では「雇用の確保」がそれぞれ42%、36%で最多だった。

 「これからの生活で最も不安に感じること」に「仕事や収入」を挙げた人は、福島県で24%にとどまった。震災後の復興に向けた取り組みが始まった岩手、宮城両県に対し、福島県はなお原発事故の対応に追われ、生活再建が後回しになっている現状がうかがえる。

 震災発生からの政府の取り組みに対しては、「全く」と「あまり」を合わせ「評価しない」と答えた人が、岩手県57%、宮城県69%、福島県68%に上った。逆に「大いに」と「ある程度」を合わせた「評価する」は、岩手県38%、宮城県30%、福島県28%。全国平均では「評価しない」は68%で、「評価する」は30%だった。

 定期検査で停止している原発の再稼働に関しては、全国平均で「反対」は57%に上り、「賛成」は36%。岩手、宮城両県の「反対」はそれぞれ57%、59%で、全国と同水準だった。一方、福島県では74%の人が「反対」と答え、「賛成」は18%にとどまっている。【鈴木直】

    ◇

 福島第1原発事故で警戒区域などに指定されている福島県の一部地域は、調査対象にしていません。岩手、宮城、福島3県は、全国調査の対象地域に含んでいます。

毎日新聞 2012年3月8日 22時00分(最終更新 3月8日 23時15分)

 
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