科学【地震学はどう変わったか(3-3)】予知困難 等身大の説明大切+(2/3ページ)(2012.3.8 22:56

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【地震学はどう変わったか(3-3)】
予知困難 等身大の説明大切

2012.3.8 22:56 (2/3ページ)地震・津波・地球科学
大木聖子・東京大地震研究所助教

大木聖子・東京大地震研究所助教

 --地震学と一般社会の隔たりを感じるか

 「以前から地震予知への過剰な期待と誤解があると思っていたが、大震災後は特に感じる。『お前たちが予知できないからだ』『給料を全部返せ』といった電話や電子メールがものすごく増えた。ただ、地震学者がそう思わせてきた節もあるだろう。例えば最近、首都直下地震が4年以内に70%の確率で起きるという話があったが、確率で出している限り予知にはならない。それなのに世間は決定論的に受け止め、『4年間は家を買わない』『地震が来る前に教えてくれるんでしょ』といった声が出ている。今回の大震災は『絶対に起きない』と言っていたことが起きてしまった。それだけに地震学の世界はものすごく変わり、社会とのつながりをより意識するようになった」

 --地震研究の成果を社会にどう役立てるか

 「お茶の間レベルで啓発するなら、発生確率よりも『家のこの部分を補強して』『この家具は固定を』などと言う方が効果的だ。例えば東京都文京区では地盤の状態が詳しく分かっており、震度6強だと木造や鉄筋コンクリートの建物が築何年でどのくらい被害を受けるか分かる。他の自治体でもかなり分かっており、大地震が起きたときの家の状態を予測して耐震診断や補強につなげられるのに、そこまでいっていない。建物がどう揺れるかは建築や土木の世界で、われわれはそれを下支えしている。その意味で地震学の成果は国民に直接というよりも、建築や土木の世界を通じて役立てられるものだと思う。ある地域の地震発生確率は国が限られた予算を配分するときなどに有効だが、一方で一人一人の防災意識を弱めたり、地震予知ができるとの誤解を与えかねない」

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