ブンブン売れていた頃、多くを人にまかせていた。曲のイメージも、派手な衣装も。阿久悠さんのカッコいい歌詞は「実は好きじゃなかった」という。
「売れている時はそれでもいい。売れなくなって真剣に考えるようになるんだよね」
30代半ば、ヒットが減っていく。「でもみんなが言うの。『ジュリーは派手でいくべきだ』。本人がもう無理無理って思っているのに」
85年に大手プロから独立してからも10年近く迷い続けた。「資金もないし、セットとかいろんなことを削って削って、結局何が一番大事なのかとなった時、思った。売れる売れないはもう違う。やっぱり『あいつはちゃんと考えている』と思われないと応援する気にならないよな、と」。コンサートに回帰した。嫌いな曲はもう歌わない。08年、東京ドームで約3万人を集めて「人間60年 ジュリー祭り」を開催。憲法9条を守ろうとの思いを込めた「我が窮状」も発表した。
毎日新聞 2012年3月8日 東京朝刊