賠償請求:57%未提出…内容理解しにくく 支援機構調査

2012年3月8日 21時26分 更新:3月8日 23時6分

 原発事故の賠償請求手続きをサポートする政府の原子力損害賠償支援機構は8日、福島県内の仮設住宅への巡回で被災者から寄せられた相談内容を公表した。避難で膨らむ生活費や不動産価値の下落に対する東京電力の賠償内容に不満を示す声が多数を占める一方、「書類が分かりにくい」などの理由で損害賠償請求書を未提出の人が57%に上った。

 弁護士らでつくる同機構の「訪問相談チーム」が昨年10月~今年2月に仮設住宅131カ所を巡回、9015件(電話含む)の要望を受けた。うち約3分の2の6088件が賠償内容に関するもの。特に精神的損害や生活費増加への賠償(1人月10万円)が不十分との訴えが2611件と最も多く、財物価値の喪失や減少に対する賠償方針が決まらないことへの不満が1496件で続いた。

 精神的損害としては「今後の生活の見通しが立たない不安」(202件)▽「ペットをなくした苦痛」(110件)▽「子供の心の痛手・教育環境の変化」(96件)などの賠償を求める声が目立った。生活費では「避難先での衣類や家具の購入費」(319件)▽「避難を受け入れてもらっている親戚などへの謝礼」(234件)などを精神的損害とは別に求める声が根強い。

 財物に関しては「所有不動産の買い上げ」(312件)▽「土地の価値喪失の賠償」(262件)など、長期間住めなくなった家屋への賠償要求が多数を占めた。一部の自治体に帰還の動きが出ていることから、早期に帰還した人が損をしないよう「帰還後の賠償継続」(21件)に対する要望もあった。

 また、57%の人が損害賠償の請求書を未提出であることも判明。うち半数が「請求書の内容が理解しにくく記入できない」、3分の1が「賠償金額・基準に納得がいかない」ことを理由に挙げた。

 同機構は「被災者の生の声を東電に伝え、改善を促していきたい」としている。【乾達】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷
 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学:東日本大震災から1年。地震はいつ来るのか。

難しいといわれる地震予知に挑む、

地震予知研究センター長、長尾教授に聞く。

知ってほしい 岩手・宮城のガレキのいま ~1日も早い復興を目指して~ 写真展

岩手県・宮城県に残る災害廃棄物の現状とそこで暮らす人々のいまを伝える写真展を開催中。