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東日本大震災(福島原発)(ニュース特集)

福島3地点でプルトニウム241 「豆類蓄積の恐れ」と警告

 放射線医学総合研究所(千葉市)は、東京電力福島第1原発から北西や南に20~32キロ離れた福島県内の3地点で、事故で放出されたとみられるプルトニウム241を初めて検出したと、8日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に発表した。

 人体に影響のないレベルだが、プルトニウム241は他の同位体に比べて半減期が14年と比較的短く、崩壊してできるアメリシウム241は土壌を経由して主に豆類に取り込まれやすい。放医研は「内部被ばくを避けるためにも原発20キロ圏内での分布状況を確かめる必要がある」としている。

 昨年4~5月に採取した福島県飯舘村、浪江町の森林の落ち葉と、スポーツ施設で現在事故対応拠点となったJヴィレッジ(広野町など)の土から検出。他の同位体プルトニウム239(半減期2万4千年)、240(同6600年)も検出、同位体の比率から今回の事故が原因と分かった。

 濃度は、過去に行われた大気圏内核実験の影響により国内で検出されるプルトニウム241よりも高い。ただ半減期が短く、1960年代当時に核実験で飛来した濃度よりは低いレベルという。

 プルトニウムは天然にはほとんど存在しない放射性物質で、原子炉では燃料のウランが中性子を吸収してできる。

(2012年3月 8日)


■泥縄対応、無用な混乱 3号機注水、遅延させる 民間事故調が報告書

 東京電力福島第1原発事故について民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調、北沢宏一(きたざわ・こういち)委員長)は27日、事故当初の官邸の対応について「泥縄的で、無用な混乱により状況を悪化させる危険性を高めた」とする報告書をまとめた。

 菅直人前首相ら官邸で対応に当たった政治家や専門家らから事情聴取。原子力災害対策マニュアルが想定しない地震・津波との複合災害に対し、省庁や事業者による役割分担を飛び越えた官邸の介入を批判。3号機への注水について、官邸で淡水を優先すべきとの意見が出たのを受け、現場でつくっていた海水注入ラインをやり直した例を挙げ「作業を遅延させた」と指摘した。

 そうした状況を、官邸中枢チームのメンバーは「(子どものサッカーのように)一つのボールに集中しすぎた」「場当たり的」と述べたという。

 報告書によると、福山哲郎官房副長官(当時)は災害対策について「細かいマニュアルを当時知らなかった」と述べるなど、チームは基礎的知識に欠けていた。

 菅首相は、トップダウン型で強い個性を発揮する半面、組織の指揮系統を通じた情報に不信を抱き、個人的アドバイザーに頼っていたと記述。

 地下の危機管理センターで携帯電話が使えない問題があったとして、改善を求めた。

 発生2日目の昨年3月12日に1号機の原子炉建屋が水素爆発したが状況確認できず、枝野幸男官房長官(同)は情報のない中、記者会見であいまいな答えに終始。民間事故調に対し「あのときほどつらい記者会見はなかった」と話したという。

 放射性物質の飛散が増えた昨年3月15日は、住民避難の観点から「運命の日」と指摘。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を避難に活用できなかった国の失態を批判し「原発を維持し、住民の安心を買うための『見せ玉』にすぎなかった」と記した。

 報告書は、米原子力規制委員会(NRC)が、2001年9月の米中枢同時テロを機に作成した「原子力施設に対する攻撃の可能性」を08年までに少なくとも2回、日本側に示したと紹介。原発の防護を厚くするきっかけになり、事故対応に役立つ可能性があったが生かせず「規制当局の重大な不作為」と批判した。

 民間事故調は、政府や国会に設置された事故調とは独立した立場から、互いに補い合う調査を目的に掲げている。


■【東電賠償】原発事故賠償が本格化 東京電力、数兆円規模

 福島第1原発事故の被害者に対する東京電力の賠償金支払いがようやく本格化する。損害は避難住民や中小企業、農家などに広がり、風評被害も含めると総額は数兆円規模に上ると想定される。賠償金支払いをめぐる現状と課題を探った。

 原発事故の賠償 原子力損害賠償法に基づき、数兆円規模とされる福島第1原発事故の賠償金は原則として東京電力が支払う。賠償範囲は、文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が決定。長期間の避難生活を強いられた住民の精神的苦痛のほか、農水産物の出荷制限や風評被害に伴う価格下落なども対象とした。政府は賠償金支払いに万全を期すため、「原子力損害賠償支援機構」を柱とする法的枠組みを整備した。賠償金の仮払いは9月27日時点で計1291億円となった。

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■放射線量、詳細な地図で 文科省がホームページ

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 文部科学省は18日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性セシウムの濃度や放射線量の分布を、従来より詳細な地図で確認できるホームページを開設した。市町村別の大まかな傾向でなく、地区ごとの違いを知りたいとの住民の要望に応えた。

 すでに公表している土壌分析や航空機測定のデータを利用。東北や首都圏の各県で、地図をズームアップしながら表示できる。ホームページのアドレスはhttp://ramap.jaea.go.jp/


■原発事故で相談電話開設 政府や専門の研究機関

 東京電力福島第1原発事故を受け、政府や被ばく医療の専門機関が、放射線の健康への影響などについて市民の相談を受け付ける電話窓口を開設している。

 経済産業省原子力安全・保安院は、原発事故の全般的な状況などの問い合わせに毎日24時間対応する。電話番号は03(3501)1505。

 文部科学省は健康相談ホットラインを開設。放射線や放射線の影響に詳しい相談員が応対する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号フリーダイヤル(0120)755199。

 放射線医学総合研究所は、被ばく医療や、放射性物質が体に付着した場合の除染方法などを解説する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号043(290)4003(11日から)。

 首相官邸のホームページには原発事故に関連する情報がまとめて掲載されている。


放射線と健康不安

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から半年が過ぎた。外部へ放出された大量の放射性物質は環境を汚染し、野菜や牛肉など身近な食品から検出が相次いだ。健康被害を防ぐため国が設定した食品の暫定基準値は、秋以降に見直し作業が本格化する。家族で囲む食卓への影響は今も続き、妊婦も不安に直面したままだ。長期化する原発事故の影響。出口はまだ見えない。

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