アーニー・ガンダーセン氏 「フクシマ事故の影響で100万人はがんが増える」
先月20日、近著『福島第一原発 真相と展望』(集英社 新書)を刊行した米原子力技術者、アーニー・ガンダーセン氏が来日。『第二のフクシマ、日本滅亡』(朝日新書)で同様の警告を発する、原発の即時全廃を訴える作家・広瀬隆氏と対談を行った。そこでガンダーセン氏は「原発事故の試算でがん患者が100万人増加する」という。
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ガンダーセン:私の試算では将来的に少なくともフクシマ事故の影響で100万人はがんが増えます。米国にも今回の事故による放射性物質が飛んできている。特に西海岸のオレゴンで高い数値が出ています。アラスカの先のアリューシャン列島の上空を通って、カナダ方面から西海岸の北側にたどり着いたのでしょう。
広瀬:海洋汚染はすでにハワイまで広がっている、と聞きます。日本人として深く謝罪します。
ガンダーセン:いえ、いえ。米国が日本に売った原発ですから。日本で、子どもの乳歯を集めてみるのはどうでしょうか。ストロンチウムはカルシウムと置き換わって骨や歯に蓄積します。大人の歯はダメですが、子どもの歯はカルシウムと同様にストロンチウムも吸収して固定されます。
広瀬:同感で、私も歯科医の方に呼び掛けたのですが、最近は法律上、本人の許可が必要で、難しいようです。核実験が行われた冷戦時代は、乳歯を集めて解析しました。日本全国から集めれば、飛散の分布もつかめるのですが......。東日本ではもうすぐ雪が溶けて、地表の放射性物質が大量に川に流れ出し、河口地帯から汚染が広がっていくと思います。
ガンダーセン:その通りです。魚が汚染し、海底にも堆積するでしょう。人への影響でいうと、疫学的には、子どもは放射性物質に対する感受性が強い。また女子は男子の2倍と言われています。それだけ、がんにかかりやすいといえます。
※週刊朝日 2012年3月16日号