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武士道プランの申し子達
交流戦の翌日。

ここ、川神市にある川神学園の全校生徒がグラウンドに出てきて整列していた。

「皆も今朝の騒ぎで知っているじゃろう、武士道プラン」

学長であり川神院の総代である、川神鉄心の口から直々に生徒たちに説明する。

「この川神学園に、転入生が7人入ることになったぞい」

ざわ…ざわ…

鉄心の話を聞き、皆がざわめき始める。

「武士道プランについての説明は、新聞でも見るんじゃ。重要なのは学友が増えるという事。仲良くするんじゃ」

片目を開き、生徒たちに言う。

「…競い相手としても最高級じゃぞい、なにせ英雄」

鉄心の話を聞き、何人かは考え事をしているようだ。

「武士道プランの申し子達は、全部で4人じゃ。残りの3人は関係者。まず3年生、3-Sに1人入るぞぃ」

鉄心の言葉に3-Sのクラスのメンバーはワクワクしている様子だ。

「それでは葉桜はざくら 清楚せいそ、挨拶せい」

鉄心の声と共に、一人の少女が壇上の前に出てきた。そのままゆっくり壇上へ上がる姿に、学園のほぼすべての男子生徒達の目を奪う。
少女はマイクの前に立つと、挨拶を始めるのであった。

そして、清楚に続き、弁慶と義経も挨拶をし終え、鉄心が次の名前を呼ぶ。

「2-S、那須なすの 与一よいち!でませい!」

が、一向に姿を現さない。

その与一は川神学園の屋上にいたが、

「義経と弁慶に恥をかかせる気か」

「ハッ!くっだらねえ。こんな馴れ合いに意味なんかあるのか?」

悠斗が行くように説得しているが、一向に行く気配がない。悠斗いはため息をつきながら懐からあるものを取り出す。

「仕方ないな。これは使いたくなかったが…」

「…ハッ!そ、それは…(汗)やめろ!早まるな!そんなもので拘束されたら俺はその間に組織に…」

「だまらっしゃい!我に触れぬ(ノリ・メ・タンゲレ)」

シュルルルルルル…ぎゅ!

「ぎいぃぃぃぃぃやああああああああああ!」

川神学園の屋上で、与一の悲鳴が響いたのであった。





~悠斗視点~

俺はマグダラの聖骸布を懐から出して、与一を拘束した。
えっ?何でそんなものを持っているかって?知らないんだよ…俺の10歳の誕生日の時にいきなり目の前に謎のポケットのようなものが現れて、説明書に「自分の欲しい武器やアイテムを頭の中で思い浮かべてください」って書かれていたから、嘘だろうな~と思って頭の中でエクスカリバーを思い浮かべたら本物が出てきたんだよ。

ま、簡単な説明はこれでいいだろ。

「は、放しやがれ!」

「だが断る!とぉ!」

俺は与一を担いだまま、下へと落ちる。

そして、

ドカアァァァン!

着地と共に大きな音が響く。

義経と弁慶、清楚は俺に気付き、近づく。

「悠斗!」

「ナイス悠斗」

「うん、与一君がおとなしく捕まっているね…いつものごとく」

なお、俺がマグダラの聖骸布で与一を拘束するのは一度や二度ではない。こっちに来てから、数えて十数回はある。

「さて、学長すまない。連れてきたが、気絶してしまっているんだが…」

俺は学長に謝るが、

「いいよいいよ。許す。じゃあ、お主のことを紹介しようかの」

俺は壇上に上がる。

「彼は関係者の一人で、名前は神埼悠斗じゃ。彼も義経達と同じS組じゃ」

「神埼悠斗だ。義経達とは一月前からの付き合いだ。よろしく」

俺が挨拶しているとどこからか「イケメン系…きたあああああ!」やら「ちょ、超好みなんですけど!!」など声が聞こえた。





んで、着々と自己紹介が進み、俺たちは今、Sクラスの中にいる。

「義経と弁慶、与一に悠斗だ。皆転入生とは仲良くするんだぞ」

Sクラス担任教師、宇佐美 巨人が俺達を改めて自己紹介する。

「き、緊張することはないぞ弁慶!与一!悠斗!」

「義経こそリラックスして」

「お前が緊張してどうするんだ」

俺は呆れ、弁慶は主をリラックスさせようとしている。

それにしても、このクラスも結構濃いメンツがそろってんな。俺はあくまで義経達の護衛のようなものだしな。

そう、俺が考え事をしている間に、なぜか軍人服の…確かマルギッテだったか?が、弁慶の錫杖で廊下まで吹き飛ばしたり、葵 冬馬に3人が口説かれたりしているな。義経は例の多摩川に来る野鳥の数の推移のことを話そうとしているし。

んで、今度は俺か。

「改めてよろしく神埼悠斗だ」

「うむ!学校でもよろしく頼むぞ!我が友、悠斗よ!」

英雄も学校では同じなんだな。

「こ奴は英雄ではないのであろう?ならF組の山猿達と…」

不死川 心が俺に対し、何かを言いかけるが、

「…人のことを言うんだったらまずは自分の器を磨くことだ」

「ホワアアアアア?!」

俺は不死川のすぐ隣に現れた。

「い、いつの間に此方の隣に現れたのじゃ!?」

「(この私ですら、気付かないレベルでの移動だと!?)」

「(あたしが気づかねえとは…相変わらず、底なしの強さを持っていやがる)」

Sクラスに俺という存在を改めて、確認させることができた。さてさて…これからどうなる事やら。燕がこっちに来るのは二日後か。元気にしているみたいなのは分かるけどな。


俺はクラスの窓から綺麗な青空を見て、燕のことを考えていた。


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