プロローグ
京都にある名所「決闘の地」では観光客でごった返していた。
「ねばーり強く、いきてゆくーんだ♪」
そんな多くの観光客の視線が集まる中、少女は体をほぐしている。
「いちにちいっしょく、なっトウッ!トウッ!」
「どう燕ちゃん、キてる?」
「準備オッケーよ、おとん」
少女…燕は、男性…おとんと会話をしている。
「相手は早く戦いたくて、たまらないみたいだよ」
おとんの視線の先には、
「ハッハー! カモーーン!!」
「カラカル・ゲイル…表世界の全米格闘王者だけど…平蜘蛛は使わないでね、燕ちゃん」
「あいあい。やってみますか」
燕は周りを見て、ムスっとした表情をする。
「ありゃ?おとん。悠斗は?」
「悠斗君?ああ、そういえば…天神館に呼び出されたよ」
「えーーー!?私の決闘見ないのか……残念だな~」
燕はガックリした表情を浮かべるが…
「…うん、落ち込んでも仕方ない!決闘はじめよっか」
燕は対戦者…ゲイルとの決闘を始めたのであった。
一方、燕が悠斗と呼んでいう男はというと…
ズドォォォォン!!
天神館…東の代表校が川神学園なら天神館は西を代表する学園である。
西日本の優秀な若者たちを集め、各分野で成績を残し、知名度を上げていっている。
その中でも2年生の中では「キセキの世代」と呼ばれる文武に優れた10人を合わせて「西方十勇士」と呼ばれている。
その「西方十勇士」が今…
ドサッ!
西方十勇士の総大将の石田三郎以外が全滅し、地に横たわっていた。
「ぐっ、貴様ほどの奴が…東の軟弱な男どもが居る所に行くことになるとはな…しかも納豆小町の松永燕も…か」
石田は愛刀を地面に刺し、杖代わりにして何とか意識を保っているほど身体に傷を負っている。
「仕方ねえだろう。燕はあっちに行くことになって、しかも俺は呼び出しされてんだぞ?あのヘルシングの名を継ぐ奴に」
石田が話している男……神埼悠斗は持っている刀を鞘に収めながら言う。
「お前に言われた通り、十勇士は全員ぶっ倒したぜ?これで文句ねえだろ?」
悠斗はドヤ顔で石田に話しかける。石田は悔しそうな表情を浮かべながらも頷く。
「ああ。俺が出した条件はお前VS俺達西方十勇士の勝負。お前が勝ったら東に生き、俺たちが勝ったらここに留まる…そういう約束だったからな」
石田は悠斗を睨みながら言う。その表情は清々しいほど、笑みが浮かんでいた。
「だが、忘れるな。お前は俺の出世街道を歩むための駒になってもらうことは俺はあきらめんぞ!」
「はいはい。その話は前から断っているだろうが…」
悠斗は呆れながら腰に手をやる。
「んじゃ、俺は帰るぜ。そろそろ帰らねえと燕がな…」
「ふん。それほど強いくせに女には弱いな…鉢屋のお色気の術は効かんが…」
「当たり前だボケ。気でわかるっての」
悠斗は倒れかける石田に後ろ向きで腕を振る。
「じゃあな」
そう言って悠斗は天神館から去り、悠斗が去った後、石田は刀から手を離し、地に沈んだ。
~悠斗視点~
シュタ!
俺は天神館から移動技術「瞬歩」で燕が決闘をしている場所へと来ていた。
上空から見ていたがどうやら勝ったようだな。さすがだ。
「ああ~~~!悠斗!」
「オス、燕」
俺は燕のそばに寄るが…
ペチン!
「あ、痛?!何するんだ!?」
「何するんだ!?っじゃない!私の決闘をどうして天神館何かに…」
な、何やら燕が落ち込んでいる…何故だあ!
「し、仕方ないだろ?俺が川神学園に行くことをあいつらが知ったら…石田の奴が「貴様が東にだとぉ!?断じて許さん!許さんぞオオ!」って言ってきて、あいつの出した条件次第で東に行くか西に残るかというのがあって…」
「…もしかして、天神館からした気の気配って…悠斗だったの?」
俺は頷く。燕はあちゃ~と頭に手を置く。
「まあ、俺が負けるはずもないしな」
「ま、まあ、悠斗はいわゆるバグキャラだもんね」
じと~と燕が俺を見る。俺は視線から目を逸らす。
「神埼様」
俺の横にいきなり現れるのは、
「確か桐山とか言ったっけ?」
「はい。九鬼家従者部隊序列42番、桐山鯉です」
俺に静かに改めて名を言う桐山。
「んで、何だ?」
「あなたには松永様達よりも先に東に来てもらうことになりました。とはいっても松永様よりも一日早く川神学園に入っていただきます」
俺と燕は桐山の言ったことを聞き、互いに顔を見合い、驚く。
「おいおい、その理由は聞かせてもらえるんだろうな?」
「そーだよ?悠斗が何で私よりも早く行くことになるのかな?(黒笑)」
ゾクッ!燕から黒いオーラを感じるな。
「(この笑みを見るとヒトケタに成りかねませんね(汗))彼には与一君達の相手をしてほしいのですよ。新しい環境に馴染める様に違う土地の人間…つまり、神埼様も新しい環境でお暮らし頂くので…」
「あ~なるほどな。別の土地生まれ同士、仲良くしろと。んで、そいつらも環境に適用できるようになるために、一日早く俺に行けと…」
「まさにその通り!(それに彼が居れば、不足な事態にも対応できますしね……0番と同等なのですし)」
俺はハァ~とため息をつきながら燕を見る。
「そういうわけだ燕。俺はお前より早くここから去ることになるようだ」
「……そう、何だ」シュン…
あれ、何かさらに落ち込んだ?
「ま、あっちに来てお互いに時間を作ったら川神とか近隣の市を一緒に見て回ろうぜ」
バサッ!
「そ、それってデ、デートってことかな///」
「うえっ?!……そ、そういうことになるの、か?」
俺も自分で言っておいて燕に言われて気づくとは///
「それでいいよ///」
「そ、そうか///」
俺と燕が互いに顔を真っ赤にしていると、
「おほん」
「「!?」」
「お二人とも…イチャつくのであれば私のいないところでお願いします」
桐山に言われ、余計に顔を真っ赤にさせる俺と燕。
「では、後ほどお会いしましょう」
そういい、桐山は帰って行った。
「じゃ、じゃあ、俺は荷造りを始めるから…か、帰るな///」
「え、あ、う、うん///」
俺と燕、それに久信さんと別れ、自分の住む家へと帰った。
家に帰ってきた俺は早速荷造りを始める。
「それにしても…俺がこの世界に転生してからもう17年…か」
みんな、おかしな奴と思うだろうが俺は魂と呼べるものはこの世界の人間ではない。まあ、生まれ変わったから魂も肉体も俺のだけどな。
あの日のことはよく覚えているぜ。この世界の…真剣で私に恋しなさい!の世界に転生するとは思いもしなかったさ。目が覚めたらいきなり見たことのない男性と女性が居たんだ。
まあ、その二人が俺の新しい両親だったけど…今はいないんだよな。
俺は写真立てを見る。そこには幼い俺と今は亡き両親の姿が…。
俺の両親は俺が7歳の頃に殺された。俺が小学校から燕と一緒に帰ってきて、そのまま遊ぶために家に戻ると…そこには血の着いた包丁と動かない俺の両親。
犯人は今度は俺と燕を殺そうとしてきた。この時だ。俺が気に目覚めたのは…死にたくない!燕を守りたいと思ったときに発現したこの力で俺は犯人を半殺しにしてしまった。当時はまだ、力のコントロールができず、困っていた。
だが、俺の死んだ父の知り合いと名乗る最強執事が俺を「面白い赤子だ。俺直々に鍛えてやる」と言われ、拉致されて地獄の1年間で鍛え上げられた結果、「貴様は赤子ではなかったな」と最終的に名前を呼ばれることになったな。
んで、今俺が川神に行く理由は燕がいくのとその時の最強執事じじいの奴に「貴様を鍛えてやった恩を忘れるなよ?その借りを返しにこっちに来い!」なんて言われたのも原因だ。まあ、燕が上目遣いで俺を見たからってのもあるけど…。
ま、とにかく新しい生活を楽しむかね……待っていろよ川神学園!
これが新たな物語の幕開けであった。
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