7日午後8時40分ごろ、長崎県佐世保市下京町の戸尾(とのお)市場から出火、魚屋や八百屋など十数軒が入る木造平屋一部2階建て約1400平方メートルを全焼した。煙を吸った28歳の男性が市内の病院に運ばれた。
同市消防局によると、通行人から「店が燃えている」と119番通報があり、同局の消防車など十数台が消火にあたり、約1時間半後に鎮火した。
現場は、JR佐世保駅から北西方向に約600メートルの国道35号に面した市中心街。戸尾市場は戦後、防空壕跡を店舗に改装した全国でもまれな市民市場「とんねる横丁」の近くにある古い建物で、一部2階は社民党支部の事務所。出火当時、市場のほとんどの店がシャッターを下ろしており、消火活動は難航した。
近くに住む男性(56)は「自宅でテレビを見ていたら、近所の人に火事を知らされた。市場の方から段々北西の方向に燃え広がっている」と話した。男性によると、戸尾市場は夜7時ごろには無人になるという。別の男性(39)は「地元色が強い市場が佐世保から減っていく中、最後まで残っている市場だった。これからどうなるのか……」と話していた。【野呂賢治、釣田祐喜】
毎日新聞 2012年3月8日 9時00分(最終更新 3月8日 10時36分)