子宮摘出で若い女性の早発閉経リスク2倍に―米研究
2012年3月6日 18時30分 更新
子宮摘出で若い女性の早発閉経リスク2倍に―米研究
閉経の平均年齢は50歳前後とされているが、40歳前後より前に月経がなくなる早発閉経に悩まされている女性は少なくない。米デューク大学のPatricia G. Moorman准教授らは、子宮摘出術を受けた若年女性では、受けていない女性に比べ早発閉経リスクが2倍近く高くなると、米医学誌「Obstetrics & Gynecology」(2011; 118: 1271-1279)に発表した。
両側の卵巣温存でも高リスク
子宮摘出術は、子宮筋腫や機能性子宮出血を含む多くの疾患に対して行われており、米国で子宮摘出術を受ける女性は年間60万人に及ぶ。子宮摘出術を行う際には卵巣を残す(温存する)が、これは健康上の利点のあるホルモン産生を継続させるため。Moorman准教授は「排卵が止まる要因が何であれ、早発閉経は骨粗しょう症や心臓病などのリスクを高める可能性があることは以前から指摘されていた」と説明している。
同准教授らは、デューク大学病院と米ダーラム地域病院から30~47歳の女性約900人を登録し、登録時および年1回、血液検査と質問票でデータを収集。追跡期間は最長で5年間だった。子宮摘出(両側卵巣摘出例は除く)をしていたのは406人で、摘出していない女性465人を対照群した。
検討の結果、対照群で4年間の追跡期間中に閉経した人の割合は8%だったのに対し、子宮摘出群では卵巣を温存したにもかかわらず、14.8%と対照群の2倍近くに上った。早発閉経リスクが最も高かったのは子宮とともに片側の卵巣を摘出した女性だったが、両側の卵巣を温存した例でもリスクが高かったという。また、子宮摘出群では、対照群と比べて約2年早く閉経を迎えると推定された。
Moorman准教授は「子宮摘出術後、一部の女性で何が卵巣機能停止の引き金となるのかは不明」とし、「手術により卵巣への血流が損なわれることが早期の卵巣機能停止を招くとする説や、手術自体ではなく手術前の基礎疾患が原因とする説があるが、今のところ分かっていない」と述べている。
また「原因が何であれ、今回の研究は患者とその主治医に潜在的なリスクに関する情報を提供するもの。子宮筋腫などで子宮摘出術を検討している女性が、早発閉経の可能性を知って他の治療選択肢を探すかもしれないし、治療法が変化する可能性もある」としている。
(編集部)