大阪府警:警部、紛失の証拠品を捏造 拾った吸い殻代用
大阪府警福島署で昨年、未解決の強盗強姦(ごうかん)事件の証拠品として保管されていたたばこの吸い殻がなくなっているのが発覚し、同署刑事課長だった男性警部(55)が、事件と無関係の吸い殻を証拠品として捏造(ねつぞう)していたことが、捜査関係者への取材で分かった。吸い殻は犯人が現場に残した遺留品として保管されており、唾液などのDNA型鑑定で容疑者を特定できる重要な証拠資料だった。府警は証拠隠滅容疑で警部を立件する方針。
捜査関係者によると、事件は03年、大阪市内の当時20代の女性方で発生。現場から採取されたたばこの吸い殻が福島署で保管されていた。紛失の時期は分かっていないが、昨年10月に同署で証拠品の管理状況を確認する定期的な内部監査があり、事前準備中の部下が吸い殻の紛失に気付いて、警部に「吸い殻がなくなっている」と相談していた。
当時、警部は別の警察署への異動直前で、証拠品紛失の発覚を免れるため、事件と無関係の別の吸い殻を用意。この部下に証拠品として保管するよう指示し、内部監査をすり抜けた。この警部は現在、大阪市内の別の警察署で勤務している。
しかし、今年に入って別の捜査員の指摘で吸い殻の紛失が発覚し、警部は2月10日、福島署を訪ねて以前の上司に「謝ることがある。監査があるのに、証拠品の吸い殻がなかったので、すり替えた」と捏造を認めたという。吸い殻は路上で見つけた同じ銘柄のものだった。
府警は警部の指示を受けて偽の吸い殻を証拠品としてすり替えた部下についても、証拠隠滅容疑で事情聴取しており、府警は今後、2人を懲戒処分する方針。強盗強姦事件については、別の証拠もあり、容疑者の特定は可能という。
府警では今月6日、泉南署交通課警部補の山下清人容疑者(57)が飲酒検問の際、検知したアルコールの数値を水増ししたうその捜査書類を作成したとして、虚偽有印公文書作成などの容疑で逮捕されたばかり。