中国で相次ぐ、政府への抗議行動とみられるチベット族の焼身自殺について、地元政府の幹部は「チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が自殺をそそのかしている」と名指しで非難し、国際社会で高まる中国政府に対する批判をかわすねらいがあるものとみられます。
中国の四川省などでは、宗教活動を厳しく制限されていることなどへの抗議行動とみられる、チベット族の焼身自殺が相次いでいます。
これについて、四川省アバ・チベット族チャン族自治州の呉沢剛州長は、7日、北京で開かれている全人代=全国人民代表大会で、記者団の質問に対し、「最近、焼身自殺した人々は、犯罪の前科などがあり、世間の評判も悪く、絶望感から自殺したものだ」と述べ、政府への抗議行動という見方に反論しました。
さらに、ダライ・ラマ14世について、「仏教の教えに反する、こうした行為を止めないばかりか、反人類、反社会的な『テロ行為』をそそのかし、後押ししている」と、名指しで非難しました。
一連の焼身自殺について、チベット亡命政府は、チベット族への弾圧が強まっていることへの抵抗だと指摘しているほか、欧米を中心に国際社会でも中国政府に対する批判が高まっており、中国側としては、ダライ・ラマ14世に責任があると強調することで、批判の矛先をかわすねらいがあるものとみられます。
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