韓国政府が98兆ウォン(約7兆1200億円)の債務を抱える韓国土地住宅公社(LH)から624億ウォン(約45億3000万円)の配当を受け取ったことが論議を呼んでいる。旧土地公社と旧住宅公社が2009年10月に統合し、LHが発足して以降、政府に配当が支払われるのは初めてだ。
LH関係者は7日、昨年の決算で当期純利益8054億ウォン(約585億円)を計上し、政府に先月、配当を支払ったと説明した。
政府は当初、LHが統合過程で巨額の負債と金利負担が生じることを考慮し、純利益が出ても、2-3年は配当の支払いを免除する方針を決めていた。このため、LHが実際に純利益を上げても、これまでは配当を受け取らなかった。
LHが昨年の決算で黒字を計上したのは、韓国の不動産景気が好況ではなかったものの、首都圏のニュータウンでマンション用地の売却が好調で、地方の売れ残り分譲住宅の販売も増えたためだ。LHは昨年、土地、建物の合計で22兆ウォン(約1兆6000億円)相当を売り、2009-10年の平均16兆ウォン(約1兆1600億円)を上回った。
LHは資金余力を考慮し、今年も配当免除を政府に求めたが、政府はLHが3期連続で黒字を計上したことから、配当を要求したとされる。政府は来年までに財政均衡を達成するとの目標があり、少しでも歳入が欲しい状況だった。
政府関係者は「政府系企業でLHほど多額の利益を出しているところはないため、配当を求めた」と説明した。これまでLHと共に黒字だった韓国電力が昨年は7000億ウォン(約509億円)以上の赤字となり、政府としては配当を期待できる先がほかにはなかった点を考慮してもらいたいとの立場だ。
しかし、LHは利益を出したとはいえ、負債が増え続けており、配当が適切なものだったかを疑問視する声もある。LHは昨年も金融負債が6兆ウォン(約4360億円)増え、98兆ウォンの債務を抱えている。昨年支払った利子だけで4兆ウォン(約2910億円)を超える。LHは債務が減少に転じるのは2016年になるとみている。
ある民間シンクタンクの関係者は「LHの負債増加は、政府が収益性のない国策事業を大量に押し付けたことが要因だ。政府が借金を政府系企業に押し付け、財政均衡にばかりこだわり、配当金を吸い上げるのは一種のモラルハザードだ」と批判した。
LHはこれまで、収益がほとんど上がらない国策事業の「ポグムジャリ住宅(庶民向け住宅)」建設や賃貸住宅事業のために45兆ウォン(約3兆2700億円)もの借り入れを行った。