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【芸能・社会】猪苗代湖ズ 箭内道彦 「復興見届けるために長生き」2012年3月8日 紙面から
福島県郡山市の磐梯熱海スポーツパークにある屋外の郡山スケート場。同市出身のクリエーターで、「猪苗代湖ズ」メンバーの箭内道彦(47)が昨年9月、「LIVE福島」を仕掛けた会場の一つだ。 2月、箭内は出演するNHKEテレ「福島をずっと見ているTV」の収録で、半年ぶりにここを訪れた。凍りつくような風に吹かれ、スケートにも興じてみせた。 県内各地を会場に、6日間連続で行われた東日本大震災の復興支援ライブ「LIVE福島」は、福山雅治ら30組以上のアーティストが出演し、2万3000人を動員。「正直、あのライブ、よくやったなと思う。今は雪があるから、ここも全然表情が違う。半年たったんだな」 大学入学までに三浪した過程で、口うるさい周囲に反発し“福島嫌い”に。だが、クリエーターとしての成長とともに、屈折した心も客観視できるようになってきた。そんな時期に遭遇した震災。「福島と結婚します」と宣言し、支援活動に奔走した。 震災直後に録音した県民応援ソング「I love you&I need youふくしま」で紅白歌合戦にも出場。同曲やLIVE福島の収益全額を県に寄付しておりその額は9400万円に達している。 「故郷に抱いていた何らかの強い感情が、震災で一気にマイナスからプラスに裏返った感じ。10年前に震災が起きてたら自分には何もできなかったんじゃないかな。広告も上手じゃなかったし。支援活動はすべて広告の応用。LIVE福島自体が、福島を広告する大きなメディアだった」 今思うのは「復興をこの目で見届けたい」ということだ。「福島の復興は、放射線の不安があるから始まっているようで始まっていない。放射線って宇宙人が攻めてきたぐらいのこと。除染も含め、生きて見届けたい。だから、健康に気をつけて長生きしなきゃと思うようになった。福島を忘れないでもらう“広告”も続けていかねば」と力を込める。 その一つとして、LIVE福島のドキュメンタリー映画化を進めていることを明かした。映画「誰も知らない」で知られる是枝裕和監督が手掛け、今年中の公開を目指す。「ライブのその後についても撮影してるし、ライブ自体をどの程度使うかも監督まかせ。どんな作品になるのか楽しみ」とニヤリ。 最後に、震災1年の感想をあらためて問うと、今年の3月11日の過ごし方が返ってきた。「11日は出演依頼も全部断って、何もスケジュールを入れていない。静かに過ごすか、(インターネットで)小さな発信をするか」。万感を込め、つぶやいた。 (丸山秀人) ◆郡山市 福島県の中央にあり、西は会津若松や新潟、東はいわきへと通じる交通の要。県庁所在地・福島市をしのぐ経済圏を持つ。内陸のため、津波被害はないが「建物にヒビが入ったり道路陥没は結構あった。実家は石垣が崩れた」と箭内。福島第1原発の事故により、「やはり放射線への不安が、こちらでは大きい」。 ◆箭内道彦(やない・みちひこ) 1964(昭和39)年4月10日、福島県郡山市生まれ。東京芸術大学卒業後、博報堂に入社。2003年、広告会社「風とロック」を設立。08年からNHK「トップランナー」の司会者を3年間務めた。10年9月、遊び半分に、同郷のサンボマスター山口隆らと4人で「猪苗代湖ズ」を結成。東京メトロ「TOKYO HEART」など、手掛けた広告は多数。 PR情報
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