名古屋−城南 後半ロスタイム、城南・エベルチーニョがオーバーヘッドで同点ゴール。GKは楢崎(奥)=瑞穂陸上競技場で
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サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は7日、各地で1次リーグの初戦を行い、G組で前回大会ベスト16の名古屋グランパスはホームで城南(韓国)と2−2で引き分けた。後半開始早々に先制されたグランパスだが、玉田が得たPKをケネディが決めて同点。さらに金崎が勝ち越しゴール。だが、後半ロスタイム残り5秒で追い付かれて勝利を逃した。1次リーグは32チームが8組に分かれ、各組の上位2チームが決勝トーナメントに進む。
その瞬間、ストイコビッチ監督は思わず笑っていた。腕組みしたまま、しばらくの間動かなかった。ロスタイムが所定の3分に達するほんの数秒前、逃げ切り目前のグランパスが一転して落胆に包まれた。
「みなさん(報道陣)はOKかもしれませんが、われわれは失望を感じている。アンラッキーだったし、ストレスがたまる。残念でならない」。手中にあった勝ち点3を逃したショックは、指揮官にもありありだった。
プロの世界でもめったにお目にかかれないシーンだろう。DF阿部のクリアを城南のFWエベルトンがオーバーヘッドで折り返し、さらにFWエベルチーニョが連続オーバーヘッド。DF闘莉王も「あんなのはもう一回やれって言ってもできないよ」と驚くアクロバティック・シュートが、何とゴールに吸い込まれるのだから、悲劇だ。
この同点弾自体は偶発的な部分が大きかっただろうが、伏線はあった。後半30分にはMF金崎に代えてDFダニエルを、41分にはFWケネディに代えてボランチの吉村を投入。システムも3バックに変えて逃げ切りを図った。ストイコビッチ監督は「2−1でリードしている局面での交代としては『正論』だ」と言う。結果的には城南の攻撃を呼び込んでしまい、DF増川は「3バックはもう少し熟成が必要」と課題を語った。
試合内容は悲観するほどではない。故障明けのケネディと玉田を軸に攻撃陣は何度も城南ゴールに迫った。ストイコビッチ監督は「選手たちはよく走ったし、総じていいプレーをした。昨年のACLで初戦で負けていることを考えれば、引き分けは悪くない。これからだ」と前を向く。これが今季初めての真剣勝負だということも加味すれば、グランパスはもっと強くなる。
少々衝撃的な引き分け発進。アジアの頂点を目指す戦いは、ここから始まる。 (木村尚公)
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