中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 静岡 > 3月7日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【静岡】

浜松出身の東北大生 行く道は違っても 復興支援の経験を糧に

 東日本大震災から間もなく1年。浜松市出身の東北大生が、人生の岐路に差しかかっている。卒業間近の4年生は「静岡に戻って役立ちたい」、就職活動が本格化する3年生は「東北で働こうか」。道は分かれても、支援活動で学んだことを生かす思いは変わらない。 (後藤隆行)

 仙台市青葉区の東北大川内キャンパスで2人に会った。法学部4年の江藤弘章さん(22)、同3年の袴田崇弘さん(21)。浜松北高校の卒業生だ。

 昨年3月11日、仙台市内で被災した。なんとか実家に戻った後、同じ高校を出た東北大生10人ほどが集まってJR浜松駅前で街頭募金を呼び掛けた。

 大学の再開は5月の大型連休明け。実家が福島第一原発から近く避難した学友がいれば、地元で友人を失った学友もいた。震災の話はなるべく避けたが、話題に出ると語り合った。「できることを一つ一つやろう」

 江藤さんは、学内の復興支援組織「HARU」に加わり、災害ボランティアも経験。所属した広報部ではホームページやブログを使って活動を発信した。HARUの主な取り組みは仮設住宅での子どもの学習支援、被災農地で菜の花を咲かす企画など。ほかの団体から一緒にやろうと声がかかったこともあり、「取り組みがつながっていくことに、やりがいを感じた」と振り返る。

 袴田さんは6月、アルバイト先の飲食店長らと避難所を訪れ、各地から寄せられた食料品などの仕分けに励んだ。「多くの人が関わらないと(被災者に)適切に分配されない」と感じた。

 浜松北高同窓会の関東支部や本部の総会では、江藤さんらがマイクを握って募金を訴えた。先輩たちの善意がうれしかった。

 人と人が結び付く大切さを肌で学んだ江藤さんは今春、静岡県の地方銀行に就職する。「いろいろな業種と関われる仕事。つながりをつかむチャンスにもなる」。大学生活の締めくくりは電子オルガンサークルの演奏会。10、11日に繁華街で開き、募金も募る。27日に卒業式がある。

 袴田さんは採用試験に備える日々。「被災した企業への融資に頑張る」「企業が育たなくなるから、電気料金は値上げしない」−。仙台の就職説明会に出て、地元企業の姿勢に胸を打たれた。「ここに残って復興に携われれば、と思えてきた」。震災を越えて、若者たちは成長しようとしている。

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ