河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺」否定発言が、波紋を広げている。
河村市長は、市役所を表敬訪問した中国共産党南京市委員会の訪日代表団に、旧日本軍の「南京大虐殺」について「通常の戦闘行為はあったが、南京事件はなかったのではないか」と発言した。
この発言を、南京大虐殺記念館館長が「でたらめな話」と強く批判。姉妹都市提携を結んでいる南京市は、名古屋市との交流を当面中止した。
日本政府は南京大虐殺の事実を認めている。さらに、2010年の日中歴史共同研究報告書で虐殺の「事実」は確認済みだ。
日本側は「日本軍による集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した」と指摘。中国側は「多数の捕虜や住民を集団虐殺し、略奪を繰り広げた。重大な国際法違反」と記述した。
河村市長の言う「戦闘行為」などではないことは明白だ。
その後、河村市長は「30万人の一般市民を虐殺したと語り継がれている。(歴史認識を)正すのが私の社会的、政治的使命だ」と述べている。
犠牲者の数について、共同研究報告書で日中に認識の隔たりがあることは事実だ。
中国は「30万人以上」とし、日本側は「20万人を上限として4万人、2万人などの推計がある」と指摘している。今後の研究の成果が待たれるところだ。
しかし、犠牲者数の違いを持ち出して、南京大虐殺そのものを否定するようなやり方は無理がある。それに歴史認識や事実を正すのは、研究者の仕事であり、学問の世界に政治が介入してはならない。
これまで歴史認識の違いが日中両国民の感情を刺激し、しばしば政治問題に発展した。こうした歴史認識の溝を埋めるために、日本の呼び掛けで実現したのが日中歴史共同研究だ。この経緯と研究成果を軽んじてはならない。
共同研究報告書は「(日中戦争で)被害を受けた中国民衆にとって、日本による侵略の記憶は深刻」との共通見解をまとめている。
ことしは日中国交正常化40周年。日中共同研究で示された共通認識を踏まえ、両国の信頼をいかに深め、どのような未来志向の付き合いをしていくのか。その方向性を示す役割こそ、政治の使命ではないか。
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